二度読み必至衝撃のミステリー小説「猫の耳に甘い唄を」。主人公は、売れない覆面ミステリー作家の冷泉彰成。弟子とともに地道に執筆活動を続けていた冷泉の元にある日刑事が訪ねてくる。彼らはとある殺人事件について調べているという。被害者の身辺調査をしたところ、冷泉のファンだったことがわかり、半年前には連絡先を書いたファンレターを送っていたことが判明。しかも事件当日、「冷泉と会う約束をしている」と周囲に語っていたという。倉知さんは、たまにくるファンレターはとても嬉しいものなので、これをなにかに使えないかと思ったという。刑事の話を聞き、冷泉は数日前に届いた2通のファンレターを思い出す。1通は気味の悪い怪文書のようなもので、自らが犯人だと示唆する言葉が散りばめられていた。数日後再びやってきた刑事に二件目の事件の被害者が怪文書と同じタイミングで送られてきたファンレターの差出人の女性がターゲットになったと伝えられた。捜査が続けられる中、冷泉の身の回りでも不思議な出来事が起こるようになる。犯人探しが行われる最中、物語は突如全てを覆す急展開を迎える。全てがある男によって語られる。そして、冒頭に書かれていた犯人の書いた文書が暴かれたとき、予想だにしないクライマックスへとたどり着く。本作のキャッチコピーは「その企みに三度驚く」。倉知さんは、殺人事件が起こるからと陰惨な終わり方はしなくていいと考えていて、楽しく読み終わってもらえるように工夫しているという。