チリの落盤事故の救出劇の裏には、作業員たちの精神を正気に保つための精神科医アルベルト・イトゥラの戦いがあった。「きらい」と書かれたメモといっしょに桃の缶詰を地下から送り返されると、イトゥラは音楽やテレビを禁止させわがままや揉め事を抑えようとした。出口氏はわがままに応えていたらグループが崩壊する、危機場面で自分たちを統制しようなんて思わない、まず自分が何をしたいのかが第一優先になってしまうと指摘した。長電話も禁止にし、1人1分という時間を徹底させた。作業員たちはイトゥラの対応に猛反発。社会心理学者の早坂氏は精神科医は作業員の欲求不満の的を自分に向けさせようとしたと指摘した。イトゥラは作業員を統一するために共通の敵イトゥラを作った。