2人が出会ったのは51年前。山田さんが「男はつらいよ」のヒロイン役として吉永さんにオファーを出した。吉永小百合の登場に撮影所中が興奮して出迎えたという。年間10本以上の出演作を抱え社会現象を巻き起こすほどの人気俳優。だが分刻みで撮影所を渡り歩き異なる人物を演じる日々に吉永さんは孤独を深めていた。日記に「私は、魂のない人形」と記した。その頃に山田さんからの出演依頼の手紙に「とらやに遊びに来るような気持ちで来てください」とあり肩の力を抜いて行けばいいのだと感じて気持ちが楽になったという。語り合いながらひとつの作品を作っていく様子は今まで出てきた映画と違っていたという。撮影を終えたとき「自分に正直に生きたい。もう1回人間らしい生活をしてみよう」と思った。もしあのとき休んでなかったら途中でどうなっていたか分からないと話した。吉永さんは自分にとっての学校だと話した。山田さんは吉永さんのためにと映画の企画を考え続けた。山田さんは「小百合さんと仕事をするっていうのは大きな喜びだからね。あの素敵な人格に触れられるってことですよね」と話した。山田さんは「みなさんこれが私の最後の作品です」なんて言って映画を作りたくないと話した。