福井県福井市の石田時計店を営む石田要一さん(103)の仕事場に密着した。古いものも含めて多くの時計・部品が保管されており、メーカー修理に出しても応じてもらえなかった時計の修理を依頼されるケースも多い。依頼は全国各地から来る。石田さんは15歳の時に時計店に見習いで入ってから90年ほど時計職人をしている。当時、時計職人は安定した職業として人気だった。手先が器用な石田さんは人よりも早く技術を習得し、18歳でお店を任せられるまでになった。20代は戦争に駆り出され、戦地を転々とする生活を送った。爆撃機の整備を任されたので実際の戦場には出なかった。終戦後の35歳で結婚した。30代後半は百貨店の時計売り場の店長となった。43歳で独立して、石田時計店を開いた。お店裏は自宅になっていて、お昼休憩はそちらで取る。仕事をするのが楽しみで、365日、休まずに営業している。石田さんの人生最高の瞬間は「お客さんに指名される時」。直らない時計を直して喜ばれることが嬉しい。石田さんは、日本最高齢の記録樹立も目指している。