2300人ほどが暮らす北海道礼文島に「桃岩荘ユースホステル」はある。撮影開始。ちょうど受け付けにお客さんがいた。千葉から来たという男性、ここに来るのは初めてだという。個室はなく相部屋で、2段ベッドがたくさん並んでいる。他の男性客に話しかけた。静岡から、20年ほどここに通っているというという常連さんだった。両親がここで知り合って結婚し、男性は「礼文」と名付けられたという。ここで突然作戦司令が出て、宿のスタッフとお客さんが入り口に集まり、やってきたお客さんを楽器で盛大に出迎えた。このド派手なお出迎えがこの宿の名物。昔からユースホステルにはお客が来るとみんなで迎える文化があり、それが進化していったもの。ここができたのは56年前。漁師の休憩所だった建物を改装した。派手なお出迎えに戸惑う女性2人組のお客さんに話しかけた。2人とも来るのは初めて。HPなどでこういう雰囲気であることは知っていたが、びっくりした。今回は羞恥心を捨てて参加していきたいのこと。この宿は食事の提供はなく、ご飯は各自で食べる。夕方6時半ごろ、食堂ではインスタント食品などを食べているお客さんたちが見られた。洗濯も併設されたコインランドリーで自分で行う。埼玉から1人で来たという女性がいた。9月からヨーロッパに永住予定で、最後の思い出として北海道を周遊しているという。夜7時、「ミーティング」という恒例行事が始まった。かつて全国のユースホステルで行われていた行事で、お客が親睦を深めるために地域のことを学んだり、歌を歌ったりする。1970年代には580軒以上あったユースホステルだが、時代と共に減り続け、今は最盛期の2割ほどとなっている。2時間のミーティングが終わった後、1人の女性に声をかけた。ここに来たのは20歳のときの一人旅以来、34年ぶり。子育てが終わり余裕ができたとき、ふとこの宿のことを思い出したという。午後10時、消灯時間を迎えた。