1983年に島根県西部を襲った集中豪雨では一帯が甚大な被害に及んだ。当時の河内家は、床上浸水の被害をうけ、紀子さんの夫は災害から家族を守れるような家をと翌年別の場所に丈夫な家を建てた。亡き夫の家族への思いが形となったもの。この家で暮らすことは、紀子さんにとって何事にも代えがたい幸せだった。そして東京で一人暮らしをした息子には気立ての良い嫁も見つかった。帰省する息子や孫を笑顔で迎えられるのもこの家の存在があればこそだった。紀子さんは2007年に夫の信幸さんが亡くなってからも大切なこの家を一人暮らしを続けてきた。そんな暮らしを終えたのは2025年。元々患っていた糖尿病が急激に悪化し、倒れてしまうことが2回ほど続いた。また視力も急激に低下し発する言葉も聞き取りにくくなった。息子の利幸さんは島根での一人暮らしを無理と判断し、紀子さんは東京へ引き取られることになった。
家主の病、死を理由に住む人がいなくなった家を整理し処分する家じまいは鳥取・島根に留まらず大きな社会問題になりつつある。2025年に日本は5人に1人が75歳の後期高齢者という、かつてない高齢化社会に突入した。都会へとでていく若者の増加は、家を継がないことが珍しくない社会を生んだ。一人で暮らす65歳以上の空き家予備軍という世帯は2040年には1000万世帯を超えると推測され、継ぐ人のいない家の増加は避けて通れない現実となっている。空き家を維持する限り、定期的にふるさとへ通う時間や交通費が必要なほか、固定資産税や電気、水道の基本料金など毎年の出費は20万円前後。修繕費用の負担が生じるほかに、放置を選べば倒壊の恐れのある特定空き家と判断され、固定資産税は6倍に。大きな経済的負担を選ぶのか、長年愛した家との別れを選ぶのか、家じまいはしてもしなくても辛い道をたどる。
家主の病、死を理由に住む人がいなくなった家を整理し処分する家じまいは鳥取・島根に留まらず大きな社会問題になりつつある。2025年に日本は5人に1人が75歳の後期高齢者という、かつてない高齢化社会に突入した。都会へとでていく若者の増加は、家を継がないことが珍しくない社会を生んだ。一人で暮らす65歳以上の空き家予備軍という世帯は2040年には1000万世帯を超えると推測され、継ぐ人のいない家の増加は避けて通れない現実となっている。空き家を維持する限り、定期的にふるさとへ通う時間や交通費が必要なほか、固定資産税や電気、水道の基本料金など毎年の出費は20万円前後。修繕費用の負担が生じるほかに、放置を選べば倒壊の恐れのある特定空き家と判断され、固定資産税は6倍に。大きな経済的負担を選ぶのか、長年愛した家との別れを選ぶのか、家じまいはしてもしなくても辛い道をたどる。
