北海道の東部を蛇行しながら流れる西別川。まだ氷点下が続く3月、まだ緑は見えず生き物にとって食べ物が少ない厳しい季節が続く。ただ西別川の中はバイカモという水草が自生している。この時期にバイカモが葉を茂らせる理由、それは川の上流の湧き水が8℃ほどと比較的温かい温度を保っているからだという。この環境が多くの生き物を支えており、バイカモにはトビケラの幼虫が巣を作り、これらの虫を糧に魚が大きくなる。またサケの稚魚はバイカモに隠れながら海への旅を続ける。またカワガラスという鳥はバイカモの茂みを餌場にしている。またカワガラス意外にもヤマセミなどの鳥もバイカモに集まる魚を餌とする。またエゾシカは川に入りバイカモを餌とする。
4月、雪解けが進む頃カワガラスはコケを集め滝の裏に巣を作る。天敵に襲われる心配も少なく、巣の材料となるコケの多い滝は子育てを控えるカワガラスには最高の環境となっている。西別川は長く厳しい季節を乗り越える生き物を支えている。これからも西別川には綺麗な湧水と多様な生物が集まる。