喜多川歌麿が描き、蔦屋重三郎が出版した浮世絵「青楼十二時 続 寅ノ刻」を紹介。「青楼」は吉原などの遊郭、「十二時」は24時間を意味する。吉原の1日を12枚に分けてこっそり覗き見する吉原密着24時のようなシリーズ。「寅ノ刻」は午前4時ごろ。2人の遊女が描かれている。火鉢の上には鍋が乗っている。客の前では食事をとれない店もあり、お腹が減っていたのかもしれない。床に置いてある細長い箱は「箸箱」。客専用の箸が入っている。箸箱の紋は右の遊女が羽織っている着物の紋と同じだった。遊女2人はヒソヒソ話をしている様子で、近くで客が寝ているのかもしれない。吉原を知り尽くした2人だからこそ描けた絵といえる。