ホテル一棟を貸し切っての夏合宿が始まった。ソロでの悩みを抱えながら、部長として160人の部員をまとめていかなければならない。練習は毎日10時間以上に及んでいる。東京都大会10日前に大きな変化が。唇がうまく動かず、ソロで思うように音が出せない理吏亜さん。先生に「もう出せない」と訴える。先生は「来年の今頃頑張ろうと思っても頑張れないって言ったはず」「みんなは苦しい方を選んだはず。なんでもっと苦しもうとしないの」「これだけできる高校生はいない」と声をかけた。大会直前、父の弘和さんが仕事を早く切り上げて娘のために作っていたのは大好物のラーメンだった。弘和さんは「すごく練習しているので、報われてほしい」と話した。理吏亜さんは「きょうだいが7人いるなか、吹奏楽で自分にお金がかかっている。申し訳なさもあったけど、親が『いいよ』と言ってくれた。親への感謝を演奏会で見せたい」と自分の思いを語った。東京都大会まであと5日、先生は大会を勝ち抜くためのある秘策として理吏亜さんにオフステージ(舞台裏)で演奏するよう指示を出した。遠くから音が聞こえるようなサプライズ感があり、立ったまま演奏ができる。小学生のときから立って演奏するのが得意だった理吏亜さん、廊下に出て演奏すると力強い音が出ていた。