北朝鮮は、コロナを理由にほぼ4年間国を閉ざした。この間、何があったのだろうか。北朝鮮南部ファンヘナムドで去年4月撮影。男性が一人、倒れ込んだまま動かない。たばこをくゆらせる物乞いに来た男性。これらの映像は韓国に脱北した男性が北朝鮮のスマートフォンで撮影したもの。コロナを理由に北朝鮮が国を閉ざす中、飢える住民たちを捉えた貴重な映像。先月、映像を撮影した青年にソウルで会うことができた。30代前半だというキムさん。軍や警察関係者も同席。警護と監視のため。多くの脱北者が中国やロシアなど第三国を経由するのに対してキムさんは海を渡って韓国に入った。妊娠中の妻と母親、弟家族の総勢9人で韓国ヨンピョン島を目指した。キムさんが脱北を目指すようになった理由。それは個人の自由や権利が認められない社会に絶望したからだった。コロナ後、政府は国民の管理を更に強化。食糧は専売制となり人々は足りない米などを闇取引で買い求めた。ある日、キムさんの家に取り締まり機関の保安員が捜査令状を持ってやってきて蓄えていた米を運び去ろうとした。何日も脱北を決行する機会をうかがった。選んだのは波が高く月明かりが僅かにある曇りの日。台風が近づいていて警備艇が撤収する可能性が高い。しかし、それは賭けでもあった。