2024年3月31日の営業最終日、過去最多の17組の予約が入った。勤務歴33年のチーフ・土橋徹、勤務歴25年の調理補助・関口勝は閉店告知後の2カ月あまりフル回転の忙しい日々だった。2人にとっても店は当たり前にある大切な居場所だった。閉店間際まで別れを惜しむ客が途切れることがなかった。午後8時50分、アゼリア45年間の営業を終える時間が近づいてきた。由里子さんがテーブルを回り最後の注文を確認する。普段は厨房から出てこない料理人の土橋さんは最後にお客さんの顔が見たいとホールに出てきた。店を訪れたお客さんはおよそ120組300人。45年の歴史の中で最も多い客数だった。