茨城県日立市の塙山キャバレーはトタン張りの飲食店が12軒密集する昭和レトロな飲み屋街。50年以上営業している店もあり、各店のママを目当てに通う客で賑わう。飲食代を払う代わりに家を見せてもらう企画で出会ったのは団地妻(多分60代)の女性3人組。飲食代は2,850円だった。内藤みゆきさん(63歳)の家までタクシーでついて行った。推定距離は4.2km、料金は2,400円だった。夜11時50分に帰宅。築6年の持ち家で間取りは5LLDDKK。2階建てで生活スペースは2階。宮本浩次の大ファンでグッズがたくさんあった。ドラマ主題歌になった「冬の花」を聞いてハマり、コンサートがあると全国どこでも行くという。夫・しんじさんは大のお酒好きで酒瓶が並んでいた。キッチンのシンクに夫の写真が飾ってあった。夫は昨年、肝臓を悪くしてがんで亡くなった。食事は作り置きして冷凍したものを温めて食べる。夫は冷凍したものは食べなかったという。1階の仏間にはたくさんの写真があった。職場の日立製作所で出会い、19歳同士で結婚。夫の誕生日は10月20日、みゆきさんは10月21日で1日違いだったことがきっかけで運命を感じて急接近。出会った翌年の5月に結婚し、男の子が3人生まれた。夫は黄綬褒章(農業や工業などの分野で功績を残した人に天皇陛下から授与される褒章)を受章。溶接工歴44年で電車の制御装置の溶接をしていたという。夫は土曜日も仕事で夫婦の時間を持つことがなかなかできなかったが、毎年10月20日は日付をまたいで夫婦で誕生日会を開いた。昨年の3月に定年退職し、2週間かけて九州を一周した。ようやくできた夫婦の時間を一緒に楽しんでいたが、夫は胃の調子が悪くなった。市販薬を飲んで生活していたが、8月15日に病院へ行ってエコーを撮ったら、肝臓全部がんになっていて「年内もつかどうか」と言われた。めぐみさんは頭が真っ白になり、夫の顔を見ることができなかったという。病院でやれることはなく、自宅で療養。夫は10月5日に亡くなった。カレンダーは昨年の9月・10月のままだった。 塙山キャバレーでみゆきさんの家について行ったら…亡き夫と過ごした日々を思いながら生活する女性の気持ちが聞けました。