原発立地の町で”処分地”選定への動き

2024年4月25日放送 21:24 - 21:30 NHK総合
ニュースウオッチ9 (ニュース)

原子力発電に伴って出るいわゆる「核のごみ」。処分地選定で異例の動き。九州・佐賀県、玄海原発が立地する玄海町。 核のごみの処分地選定に向けた調査を町が受け入れるよう求める請願が、町議会の特別委員会で可決。原発が立地する自治体では全国初。きょう開かれた玄海町議会の特別委員会。賛成6人、反対3人の賛成多数で請願は可決された。特別委員会にはすべての議員が参加していることから、請願はあすの本会議でも可決され、正式に採択される見込み。原子力発電に伴って出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」は、長期間、強い放射線を出し続けることから、地下300mより深くに埋めて最終処分を行うことが法律で決まっていて、処分地の選定に向けた調査は、20年程度かけて3段階で行われる。文献調査はその第1段階。文献をもとに、火山や断層の活動状況などを調べるもので、2年程度かかることが想定されている。対象の自治体には、最大20億円の交付金が支払われる。調査を受け入れるかどうかは、最終的に町長が判断することになる。玄海町・脇山町長は「大変重く受け止めている」と述べた。
九州初となる玄海原発1号機の運転が開始されたのは、1975年。今年度の当初予算では、歳入の6割近くを交付金などの原発関連の収入が占めていて、県内で唯一、国から地方への普通交付税を受けていない。今回、請願書を提出した団体の1つ、飲食業組合・川崎隆洋組合長は、原発の恩恵を感じてきた。しかし人口はピーク時から約3割減少し、5100人余に。高齢化率も31.6%と、全国平均よりも高く推移。こうした中、2015年以降、4つの原発のうち2つが廃炉となったことで、客の多くが原発関連の作業員だった川崎の店は、4割ほど収入が落ち込んだ。さらに新型コロナの感染拡大で打撃を受け、ことし2月ごろから、ほかの飲食店経営者と話し、請願書の提出を検討してきた。川崎組合長は「このままだと玄海町は廃れていく。新興の一つになるのかなというのを請願書に乗せた」と語った。
原発の立地自治体として「核のごみ」の処分地の選定にどう関わっていくのか。賛成した議員は、別のねらいもあると話す。玄海町議会・松本栄一議員は「一石を投じるではないが、関心を持って真剣にどう対処していくべきか判断してほしい」と述べた。一方、採決で反対した玄海町議会・前川和民議員は「一石を投じただけで終わるのか、先に進む可能性が非常に高い。慎重審議すべき」と述べた。
「核のごみ」の現状。「核のごみ」は、原発の使用済み核燃料から再び燃料となる物質を取り出す際に発生。現在、青森・六ヶ所村と茨城・東海村に一時保管されているが、最終的に処分する場所はまだ決まっていない。今回の文献調査については、北海道・神恵内村と寿都町とで、全国で初めて行われ、次の段階に進めるとする報告書案がまとめられている。一方、長崎・対馬市では、調査の受け入れを求める請願を市議会が採択したものの、市長は調査を受け入れない意向を表明。今のところ、調査地域は限られている。


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