2023年11月1日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
卵も肉もまるで本物!“フードテック食品”で食卓は変わる?

出演者
桑子真帆 池上紗織 氏家清和 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

キーワード
フードテック
卵も肉もまるで本物!“フードテック食品”で食卓は変わる?
“卵そっくり”食品 開発進む裏に何が?

東京・渋谷に植物性のメニューが話題のカフェがある。豆乳を使ったバターチキン風カレーや大豆でできたナゲットなど料理は全て植物由来のフードテック食品で作られている。人気メニューの1つが白インゲンマメやニンジンを原料とした代替卵を使ったオムライス。値段は1,210円。清信奏江さんは「プラントベースフードが新たな選択肢として食べてもらえたらうれしい」と話した。代替卵の開発にいち早く乗り出したのはマヨネーズが主力の大手食品メーカー。植物由来の材料でスクランブルエッグなど4つの商品を展開している。力を入れたのが溶き卵のように使える商品。材料はアーモンドの粉で植物性の色素を使って黄色に。加熱すると固まる熱凝固性は凝固剤を使って再現。値段は本物の卵の6倍と割高だが業務用に加え去年からはネット販売も始めている。綿貫智香さんは「精進料理ではなく日常的に食べるメニューが植物性に置き換えられることに価値を感じる」などと話した。年間40億個の卵を使うこのメーカーはことしの鳥インフルエンザによる卵不足で製造ラインが影響を受け植物性食品の必要性が今後高まると感じている。

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世界に広がるか 日本のフードテック食品

日本のフードテック食品は世界に広がる可能性を秘めている。ことし5月スペインで開かれた見本市では日本から16の団体が出展。参加したフードテックの専門家は日本の植物性食品の味が期待を集めていると言います。

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“豚骨風”ラーメン 大豆のだしで世界へ

外国人のニーズに合わせ海外展開を視野に開発されたフードテック食品もある。こちらのラーメンチェーンが販売しているのは全て植物性原料の“豚骨風”ラーメン。大豆由来の濃厚なダシがベースになっている。チャーシューは豆腐を加工。麺も卵不使用で全粒粉を使用し栄養価を高めた。アメリカや東南アジアにも店舗をかまえるこのチェーンは宗教上の理由などで豚骨ラーメンを食べられない客がいることが課題だったが植物性のラーメンが打開策になったという。このスープを可能にしたのが油脂メーカーの技術です。大豆から豆乳クリームと低脂肪豆乳を分離する技術で特許を取得している。大豆ミートなどの開発を進めてきたが動物性に近い満足感を出せないことが長年の課題だったという。突破口を開いたのが大豆で作ったダシの開発。大豆たんぱくをアミノ酸の集合体へと分解しうま味を引き出そうとした。植物性の油脂を組み合わせることで豚骨が持つ風味を再現した。仕上げに昆布やきのこのだし汁を加えるなどラーメン店の技もコラボ。油脂メーカーは大豆由来のだしを世界に展開したいと考えている。

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フードテック食品 どこまで本物 安全性は / “たんぱく質不足”危機 植物性で補えるか

スタジオゲストは池上紗織さんと氏家清和さん。池上さんは代替肉は見た目や弾力性などが本物に近付いてきている、ただ味は味付け次第だと話した。最新研究についてはインスタグラム「地球のミライ」から詳しくご覧いただけます。安全性について池上さんは安全だが増粘剤などいろんな添加物を使っている、濃い味付けをしていることで塩分が高くなることもあるので植物性=健康的と言い切るには早いと話した。代替たんぱく質を何でとるかの意識調査では「自国の伝統的な植物性食品」が39%で最も高かった。一方で「培養肉」や「菌類による食品」は低い。氏家さんは食品の安全と安心は分けて考える必要がある、安全は科学的に証明できるが安心は心理的なものと話した。世界の動物性たんぱく質の需給バランスの変化を見ると2030年には需要が上回りたんぱく質の不足が懸念される。氏家さんは途上国の人口増加とともに経済成長も伴って穀類から肉類へシフトして争奪戦のようなものが行われる、フードテックの重要性は増していくと話した。日本は大豆の自給率が6%。氏家さんはフードテックがたんぱく質不足を補えるかは単体では難しい、食全体のバランスで考える必要があると話した。

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廃棄食材がよみがえる 最先端フードテック

8月に京都の町家で開催されたのはフードテック食品の可能性を考えるイベント。遺伝子技術で身を太らせた鯛を使った潮汁に栄養価の高い蚕のかき揚げなど10品。フードテック食品を京都の料理人がおしゃれなコース料理に仕上げた。なかでも最先端のテクノロジーが凝縮されたのが雲丹と長芋の山葵ジュレ。食用に適さない一部のウニが使われている。ウニは温暖化の影響で爆発的に増え海藻を食べ尽くし磯焼けを引き起こす。身がスカスカのウニは産業廃棄物として捨てられている。このウニを資源として再生させようと活動する水産加工会社がイベントの趣旨に共感しウニを提供した。ウニを食べやすい形に加工したのがどんな食材も粉末にする装置を開発したベンチャー企業。乾燥と粉砕を同時に行い時間を短縮することで風味や栄養を損なわず粉末にできるようになった。ホウレンソウではビタミンAが生の状態の80%以上に保たれ従来の粉末より優れた分析結果が出ている。生産過程で捨てられていた鮭の小骨やコーヒー豆の出がらしを粉末にすることで食材として利用できる。粉末のウニに料理人が利尻昆布を加えてウニの風味を引き立てた。食べやすい形に整えた技術は大学の研究者が開発した食品専用の3Dプリンター。レーザー光の量で食感を自由自在にコントロールできる。廃棄食材の粉末を活用したフードテック食品は次は野菜の粉末で握りずしを製作する予定です。

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フードテック食品 消費者のつきあい方

フードテック食品の可能性と課題について、氏家さんは食品ロスの低減になる一方で廃棄物にのみ原料を依存すると原料調達の不安定さがあると話した。池上さんは昔からある代替食品は安さが売りだったが昨今は必ずしも安いという訳ではない、消費者にとって分かりやすい付加価値もつける必要があると話した。現在JAS(日本農林規格)があるが迅速にフードテック食品に拡大させていくことが重要。新たな食文化について、池上さんは代替からの脱却が重要と話した。氏家さんは消費者が手軽に安心してフードテック食品を手に取れる環境整備が重要、大豆は世界の食生活を持続可能な形にアップデートするポテンシャルを持っていると話した。

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