2023年10月23日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
高値続くガソリン価格 補助金延長のかげで

出演者
桑子真帆 
高値続くガソリン価格 補助金延長のかげで
高値続くガソリン価格 中東情勢 補助金…今後は?

6月以降、上昇を続けるガソリン価格。9月には過去最高の186.5円。今月16日時点では174.7円も、補助金がなければ209.3円だったとされる。今日の所信表明演説で岸田首相は、来春まで補助金を継続する方針を表明。

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岸田文雄資源エネルギー庁
ガソリン“最高値”の県 価格が暮らしを直撃

長野・栄村の吉村一家。長野県では今夏、全国最高値となる194.5円に。自宅から都市部までは30km。総走行距離は1か月当たり3000kmを超えることも。ガソリン代は1ヶ月で6万円に。近くは豪雪地帯でもあり、灯油代の高騰にも苦しめられているそう。

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栄村(長野)
ガソリン価格で仲間が… 暮らし支える産業は

神奈川の軽貨物運送業者・安東。自前の軽貨物車で建築資材などを運ぶ。ガソリン代の高騰で、1日の利益が1万円を切ることも。今年、燃料価格の影響で倒産した運送会社は先月までに82件。既に去年を超える数字。安東の周りにも廃業を決める仲間が。補助金で175円程度に収まっているが、これがギリギリの水準だと感じているそう。

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帝国データバンク神奈川県
高値続くガソリン価格 中東情勢の影響は?

原油を生産・輸入し国内の企業に販売する都内の企業では、イスラム組織ハマスとイスラエルの衝突が中東の産油国に及ぼす影響や、原油価格の上昇幅などについて検討会議が。

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ガザ(イスラエル)ハマース港区(東京)
高値続くガソリン価格 中東情勢の影響は?/高値続くガソリン価格 「補助金」どうする?

イスラエル情勢がガソリン価格に与える影響。今後はイランによる関与が危惧され、関与すれば米英らが制裁を課す可能性も。これにより原油価格が上昇する恐れも。日本は補助金をガソリン価格に付与しているが、既に6兆円の予算が投入されていて、国民1人あたり5万円の税負担に相当。補助金は今後も続けざるを得ない状況になる可能性も。これによる増税には不公平感も大きく、費用対効果も低い。年間収入ごとのガソリン支出額・補助金による負担軽減額を表で見てみると、高所得世帯ほど恩恵が大きいことが分かる。本来、低所得者層に重点的に支援するのが望ましいとされる。

高値続くガソリン価格 「補助金」どうする?

上野エコノミストは、補助金がなくてもガソリン価格が175円いかになる条件を試算。ガソリン価格は、原油価格と輸入する際の円相場で決まる。原油価格が今と同じ9ドル前後なら、ガソリン価格が175円以下になるには、1ドル=90円まで円高が進む必要。円相場が今の1ドル=150円前後なら、ガソリン価格が175円以下になるには、原油価格が60ドルを下る必要。こうしたことから、175円以下になるのは全く見通せない状況。

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ニッセイ基礎研究所資源エネルギー庁
高値続くガソリン価格 「補助金」どうする?/高値続くガソリン価格 “二重課税”めぐる声

問題点も多いガソリン補助金制度。既に消費者の生活が圧迫されている中、政府としては迅速に物価高対応が迫られるため、既存の補助金を延長するのを、現実的な解決策として用いざるを得ない状況。本当に困っている人への支援こそ求められるため、こうしたガソリン補助金は段階的に縮小していくべきと専門家は指摘。

高値続くガソリン価格 “二重課税”めぐる声

石油連盟と日本自動車連盟はそれぞれ、国に対しガソリンへの税金の見直しを要望してきた。ガソリン価格にかかるガソリン税、石油石炭税にも消費税がかかっていて、この二重課税を問題視。本来の課税に上乗せされている分があるガソリン税。トリガー条項では、ガソリン価格高騰時に上乗せ分が一時的に免除されることになっている。東日本大震災復興財源確保のために凍結されているが、発動を求める声も。二重課税がなくなれば1リットル当たり5.66円、トリガー条項が発動されれば25.1円下がる計算に。

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X家計調査年報2022山口市(山口)日本自動車連盟石油連盟

ガソリンにかかる二重課税については、専門家からも「税の理論として望ましくない なくしたほうがよい」「消費税は社会保障関連で必要 両方負担するのはおかしくない」などと両面からの意見が。国は、消費税はドライバーが負担するもので、ガソリン税は石油販売会社が負担するものとし、二重課税ではないと説明。二重課税は酒やタバコなどにもあり、いま起きている物価高に迅速に対応するためには、二重課税解消では不十分との声も。トリガー条項については「透明性が高い 灯油・重油が対象外なのは課題」「発動されれば年間1兆円以上の税収減 国債発行なら負担が将来に転嫁」などの専門家の意見も。同規模の予算を投じるなら、消費者の需要をEVなどにシフトさせていくのが望ましいとの意見も。

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上野剛志木内登英熊野英生第一生命経済研究所
高値続くガソリン価格 “脱化石燃料”への道は

去年販売されたEV・電気自動車は5.9万台。前年比では2.7倍に。ガソリンに比べ燃料費も下がるとされるが、充電設備の充実という点には課題も。現在、充電スタンド設置数は3万口ほどと、ここ数年で伸び悩んできた。国は30万口に増やす方針。13年前から充電スタンドを置いている山形の道の駅からは、故障に対応できる業者が県内にないことをふまえ、そのサポートに保証を求める声が。国が2030年代前半の商用化を目指す合成燃料は、再エネで作った水素と工場から出たCO2で作るクリーンネルギー。既存のエンジン車でも活用できるが、製造コストは1リットル当たり300~700円ほど。

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ゼンリン西村康稔道志村(山形)

脱炭素社会の実現に向け、日本は20兆円規模の先行投資を、米国は日本円で50兆円超えの支援を行うとしている。日米とも巨額の投資をどう進めていくかが問題で、民間との話し合いも既に進んでいるのが米国。今後は経済安全保障の観点からも重要視されるとみられる。1973年からの10年間、日本は3割の省エネ化が進んできた。専門家は、石油危機をバネにして日本経済は繁栄できたとし、「今後の繁栄のために皆で頑張る」と提言。

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第一生命経済研究所資源エネルギー庁

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