発言の前日、バイデン大統領は中国に挑発ともとれる行動をとっていた。中国が力を入れる先端半導体と量子技術・人工知能の3分野を中心にアメリカから中国への投資を規制する大統領令を出した。安全保障上のリスクをもたらす特定の中国企業に対し、アメリカのファンドなどが投資することを禁じたり、政府への報告義務を課したりするもの。この大統領令に中国は猛反発。最近、長引く中国との緊張状態の緩和に向け動いていたバイデン政権。6月にはブリンケン国務長官が訪中し、「健全で強力な経済活動がアメリカ合衆国と中国の双方へ恩恵をもたらすでしょう」と述べていた。先月にはイエレン財務長官も北京を訪問するなど、中国との関係改善が期待されていた。そうした中、なぜバイデン大統領は対中投資規制に踏み切ったのか。国際金融に詳しい真壁特別招聘教授は「来年大統領選挙もあるし、民主党内でやっぱり結構強硬な意見を言う人も多いんですよね。世論の感じだとやっぱり中国に対して甘い態度はなかなか取りにくいというのが本音」と分析する。深まるアメリカと中国の分断。アメリカと同盟国である一方、中国とも経済関係が深い日本にはどのような影響があるのか。