無花粉スギの中でも成長が早いエリートツリー。その候補の木々が南足柄市の県有地に現在900本あまり植えられている。その取組を中心的に進める県自然環境保全センターの齋藤央嗣さん。齋藤さんは「神奈川県は首都圏の西側にあるので、花粉飛散の発生源になりやすい地域。ここで対策をすることで神奈川県民だけでなく東京とかにいく花粉量も抑制できる」などコメント。まず齋藤さんにエリートツリーのもとになる無花粉スギの特徴を見せてもらった。通常の雄花と比べて無花粉スギの雄花は茶色い液が出てくるぐらいで花粉は全くでてこなかった。無花粉スギは自然界に5000本に1本程度。突然変異で生まれるとされる。齋藤さんらは20年前県内産のスギの中から初めて見つけ出し生産拡大に取り組んできた。その中で人工交配の仕方を工夫し種子から育てる方法を開発。量産化にも目処をつけた。そして次に目指しているのが成長が早いエリートツリーを生産してスギ林の植え替えを進めること。きっかけは南足柄市の県有地に無花粉スギを植えてから4年後ある特徴に気づいたことだった。通常は5年でも2~3mほどの高さだが4年時点で4.4mまで伸びていたのだそう。さらに植えてから10年経った今年、再び計測すると通常6~7mほどの高さになるはずが900本あまりの木々は平均で10m以上に育っていた。成長の早さは1.5倍。この成長の早さについて齋藤さんは親となるスギの品種が優良だったことや土壌の環境などが影響した可能性があると見ている。このチャンスを生かし花粉症対策を加速化させる研究を進めることにした。研究では高さや太さを吟味してまず20本程度を選抜。その上で専用の機器で樹木の密度を調べたり、DNA鑑定で遺伝子を調べることでさらに優良な品種を選抜しエリートツリーとして増やす計画。5年後にはエリートツリーを出荷できるようにしてスギ林の植え替えをすることが県の目標になっている。