日本時間きのう午前3時半頃から行われたカンヌ国際映画祭の授賞式で役所広司さんが主演を務めた映画「PERFECT DAYS」で男優賞を受賞。東京・渋谷を舞台にした作品で役所さんが演じるのはトイレの清掃員として働く男性。淡々と過ぎてゆく日々と人々の出会いによって起こる小さな揺らぎが描かれている。撮影では形が違うトイレに応じて掃除の仕方を教わったという。「最終的に「コージ・ヤクショ」と呼ばれたので「ああなんだ もらったんだ」とびっくりした。壇上から監督の顔を見ていると本当に喜んでくれて嬉しかった」と振り返った。壇上ではキャスト・スタッフとともに妻へ感謝の言葉を述べた。日本の俳優による男優賞受賞は2004年に是枝監督の映画「誰も知らない」で主演を務めた柳楽優弥さん以来の快挙で19年ぶり。是枝監督は「この映画祭に役所広司という名前が刻まれるというのはとても誇らしいですし、一緒に映画を作っている仲間としても当然遅すぎるくらいの評価だと誰もが思っていると思う」と話した。是枝監督の最新作「怪物」では脚本を担当した坂元裕二氏が脚本賞を受賞。是枝監督が今回初めてタッグを組んだ坂元氏。社会現象ともなった「東京ラブストーリー」の脚本家。坂元氏は当時23歳だった。以降は30年以上に渡って様々な恋愛ドラマを世に送り出している。しかし受賞作品となった「怪物」は小学校で起きた出来事を息子を愛するシングルマザー・教師・子どもたちそれぞれの視点で描いたヒューマンドラマ。坂元氏について映画評論家・前田有一さんは「坂元氏は初期の頃はトレンディードラマや恋愛ドラマとかがとても多かった印象がある。クリエイティブなクリエーターとして一番の強みは何なんだろうと思うと社会問題」と解説。今回の受賞を受けて「夢かと思いました。たった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」とコメントしている。「怪物」は今週金曜日に公開。