歴史探偵 (歴史探偵)
宮沢は質屋を営む裕福な家庭で育ち、プロの演奏家からチェロのレッスンを受けていた。ベートーヴェンの大ファンで、「田園」が好きだったという。腕前は今ひとつだったとされるが、夜中まで演奏に没頭したといい、その経験をもとに童話「セロ弾きのゴーシュ」を発表。18歳の時、鼻炎の手術のため入院。脈拍を測ってくれた看護師の女性に恋し、両親に結婚への思いを口にするが、すげなく却下されたという。そんな宮沢にはよき理解者で、2歳年下の妹・トシがいたが、24歳の若さで逝去。のちに宮沢は痛切なる悲哀を綴った詩「永訣の朝」を発表している。トシは今際の際、病苦に苛まれる人生ではなく、他者の役に立つことができるよう生まれ変わりたいと望んだという。