ANNスーパーJチャンネル (ニュース)
中国・北京市の郊外にある日雇い労働者たちが集まる街。仕事を求める人たちの姿が、道路の分離帯にまであふれている。仕事に就けない人も多い中、中国では「格下げ消費」と呼ばれる現象が起きている。景気の減速傾向が続く中国では今、中国発祥のファストフードやコーヒー店を中心に激しい価格競争が繰り広げられている。2人から3人でシェアもできるお得な8種類セットを日本円にしておよそ600円で売り出しているのは中国国内で爆発的な人気を誇っている中華チェーン「ウォレス」。ハンバーガーとチキンを掛け合わせた戦略が受け、去年の売り上げはコロナ前の3倍以上となる88億元。今のレートでは日本円で1850億円にも及んでいる。ライバル店のケンタッキーフライドチキンでも対抗する動きが。週末限定で8つの商品セットを5元値下げ、日本円で100円ほど安くしている。激しい値下げ合戦が繰り広げられている背景には、消費者の心理が働いていると中国経済に詳しい専門家は指摘する。「やせ我慢消費」とも「格下げ消費」とも呼ばれる現象は消費者の節約志向が強まっていることが要因だという。中国では今年7月から9月のGDP国内総生産の伸び率が4.6%で、目標の5%前後を2期連続で下回った。
景気の先行きが不安定な中、格下げ消費はカフェ業界にも広がってる。スターバックスコーヒーでは、フラペチーノなどをアプリを使って2つ頼むと合計の半額で買えるキャンペーンを行っている。中国チェーンのラッキンコーヒーは、中国においては今やスターバックコーヒーを年間の売り上げで上回っている。ラテの価格はおよそ11元でスターバックスに比べて3分の1の安さ。値下げ合戦でも優位に立っている。重要なのはコスパの高さ。中国人カップルの結婚式が行われているのはマクドナルド。なぜそこまで節約するのか、専門家はその理由に若者の失業を挙げ、そうでない人も「明日は我が身」と不安を感じているからだと解説した。