時論公論 (時論公論)
解説のポイントは「着陸で何が起きたのか」「民間が月面を目指すわけは」「月面ビジネス拡大への課題」。きょう未明、東京・千代田区でパブリックビューイングが行われ民間月面着陸を見守った。民間のベンチャーは月面に衝突したと見られ着陸は失敗したと発表した。着陸船は小型であるが雄小で企業の実験装置などを搭載し、探査車で砂の採取予定もあったが不可能となった。ベンチャーでは一昨年に民間初の月面着陸を目指したが高度の認識を誤り失敗し、同年にロシアも着陸に失敗している。翌年にJAXAのSLIMはピンポイント着陸は成功したが逆立ち状態での探査となった。失敗が続いているのは月面重力が6分の1Gであり着陸は一発勝負であるため。ベンチャーの今回の失敗は高度の測定に遅れが発生したためであった。一定の技術力があるのはJAXA、NASAで内外の宇宙関連メーカー出身のエンジニアが多数在籍し、メインエンジンにはドイツの会社から購入して実績ある技術を活用し、1回目とほぼ同じ着陸船を用いて短期間での再挑戦を実現している。着陸の最大の目的は月面でのビジネスであり、物資輸送や資源開発を目標としている。
ベンチャー再挑戦の課題は資金の確保が重要で、次回にはより大型の着陸船で挑戦すると明かしており、月面ビジネス拡大の可能性もあるがエンジンなどの変更が強いられ着陸の難易度が上がっていて、まずは着陸成功することで実績作りが求められる。政府に求められるのはルール作りであり、ベンチャーが月面の砂の所有権をNASAに有償で譲渡し、月面資源の初の商取引を計画している。米中の覇権争いでは、月面の水の存在の可能性から飲水、水素取り出しロケット燃料と用途が考えられ、米は2027年から有人探査を日欧などと国際協力して計画し、中国は2024年に2回目の着陸で土壌を持ち帰り2035年にはロシアと協力して月面基地を計画しており、覇権争いが激化すると見られている。月に資源は100か国以上が加盟する宇宙条約に基づいており、科学調査は自由だが国家の領有は禁止している。しかし資源については規定がなく米・日などは国内法を整備し企業に資源の所有販売を認めるとしている。ベンチャーは日本では国の巨火が得られれば企業に所有権を認めており、これによる初の資源の商取引が実現すれば国内法の有効性がアピールできる。一方で国内法は他国への拘束力はなく早い者勝ちで争いに発展する可能性もある。そのため天体資源開発の国際的ルールが必要になってくるため既に議論が始まっている。日本が議論のリーダーシップを取れるかに期待がかかっている。