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アメリカの原発をめぐる動きについて。人工知能などの発展にともなう電力需要に対し、十分な電力を確保しようとトランプ大統領は、原子力発電を増やすための大統領令に署名。アメリカの原発の数は、1990年代をピークに減少傾向にあった。アメリカ史上最悪の原発事故が起きたスリーマイル島原子力発電所事故の1号機を再稼働させ、電力の供給を受ける計画が進んでいる。1979年、機器の故障と人為的ミスにより、炉心が異常な温度上昇をはじめた。周辺住民はメルトダウンや、爆発の恐怖に直面。放射性物質が放出された。原子力規制委員会は、健康や環境への悪影響はないとしたが国民と原子力産業は影響を受けた。電力大手のコンステレーション・エナジーの発電部門の責任者であるハンソン氏に聞いた。事故のとき1号機は停止していた。2号機の事故のあと止まったまま。1985年に再稼働し、論争の的となった。2019年には閉鎖した。ペンシルベニア州の天然ガスは、とても安いので火力発電所が建設されていたという。不採算の1号機を閉鎖する決断は、株主に対する責任だった。1号機を閉鎖するときに、再稼働はないと思っていた。しかし、原発の運命が変わり始めた。気候変動が現実のものとなる中、原発は温室効果ガスを出さず、太陽光や風力と異なり、24時間発電可能だと認識された。コンステレーション・エナジーは1号機の再開に15億ドル以上を投資すると発表。スリーマイル島復活の原動力はマイクロソフトだ。スリーマイル島原発で二酸化炭素を排出せずに生み出された電力すべてを20年間購入すると約束。マイクロソフトは2030年までに排出する二酸化炭素より多くの二酸化炭素を除去できるようになることを目指す。AIなどの演算に、エネルギーを大量消費する同社にとっては、困難な目標となる。そこで目をつけたのがスルーマイル島。マイクロソフトの関与がなかったら再開の話もでなかっただろう。マイクロソフトだけではない。グリーンウォルド氏は、原子力を気候変動の解決策とする超党派の研究グループを運営している。グリーンウォルド氏はAmazonやGoogle、ダウ・ケミカルが、小型モジュール炉で発電する新たな原子力技術の開発に、投資しているという。プロジェクトの実現には、スリーマイル島の再稼働と同様、数年かかる。発電所のすべての機器を再検査することになるというコンステレーション・エナジーの担当者。2028年半ばの操業再開を申請する。発電所と送電網をつなぐ変圧器に、1億円ドルを投資している。ブリティッシュコロンビア大学のラマナ教授は、古い原発の再稼働など考えるべきでないという。原子力は解決策ではないという本を出版している。スリーマイル島、チョルノービリ、福島を挙げ、原発のリスクはとても大きいという。原子力のノウハウが拡散すると、核兵器が拡散するリスクも高まる。原発の建設には膨大な時間と費用が必要だ。現在もっとも安い発電方法は再生エネルギーだ。原発の3分の1から5分の1で発電できるという。温暖化に懸念する人たちは、原発の採算性に、十分に注意を払っていない。原発再稼働にかかる費用は低く見積もられている。ここ数十年ではじめて新設されるボーグル原発の例を上げる。2023年に稼働開始の予定だったが7年遅れ。予算は170億ドル以上超過している。スリーマイル島の別のふたつの原発も再稼働が予定されている。ハンソン氏は放射性廃棄物の処理を含め、様々な課題があるという。スリーマイル島の廃棄物は、敷地内に貯蔵されている。事故のあと、原発産業は肩身が狭かった。しかしいま、原発はクリーンエネルギーだと、堂々といえるようになっている。しかし、原発はライバルに差をつけられている。太陽光や、風力、推力などの再生可能エネルギーの発電量は、原発を上回っている。