視覚に障害がある学生が接客

2026年6月1日放送 16:15 - 16:27 日本テレビ
news every. (特集)

東京・杉並区で毎週月曜の夜にだけオープンする「Moonloop Cafe」。スタッフの様子を見ると時折グラスを持ち上げ重さを確認しながら水を注ぎいでいる。実はこのカフェでホールスタッフとして接客するのは全盲の彼女をはじめ視覚に障害がある学生たち。キッチン担当の視覚に障害がない学生と協力しあいながら働いている。Moonloop Cafeがオープンしたのは去年2月。当時大学4年生の浅見幸佑さんが中心となり、知り合いが営むカフェを週に1度、間借りして始めた。浅見さんが視覚障害に関心を持ったのは大学1年生のとき。福祉の授業がきっかけだった。視覚の状態を問わず一緒に楽しめる瞬間を増やしたいと大学2年生のときには重さの間隔をプレーヤー同士で伝えあい、一致させる視覚に頼らないボードゲームを友人とともに開発。このボードゲームを通じて視覚に障害がある人たちと交流するなかで痛感したのが「働くこと」への課題だった。視覚に障害がある人にも仕事の選択肢が広がる社会を目指し始まった「Moonloop Cafe」。お店のテーマは「月の満ち欠け」。視覚障害と一括りに言っても視野の欠け方に違いがあるところから着想を得た。全盲の隅本真理さんは地球からは見えない月の「新月」。左目だけ少し見える弱視の石上匠人さんは「半月」と表現。その日メインで働くスタッフの満ち欠けで甘さが変わる「チャイ」が看板メニューだ。浅見さんは去年9月、キッチン担当を卒業。オープン当初からの中間で音楽大学の大学院に通う隅本さんに店長を託し、現在は運営団体の代表として定期的にミーティングをしながら支えている。
隅本さんは先天性の網膜の病気で7歳のとき全盲になった。幼い頃からピアノや合唱など音楽に親しみ、音楽大学では声楽を専攻。当時はおしゃれなカフェで働く友人を羨ましく感じていたという。浅見さんに誘われスタッフに決まってからオープンまでは約4か月。スタッフ同士アイデアを出し合いながら店内での動きを繰り返し練習してきた。工夫した一つが営業日の開店準備。間借り先のオーナーの許可を得てテーブルの向きを90度回転させることでお客さんにぶつかるリスクを軽減。カトラリーは渡し方を互いに決めておくことでお客さんが口に入れる部分を触らず配膳できるようにしている。「できない」と決めつけずできる方法を一緒に考えることを大切にしてきた「Moonloop Cafe」。営業中、お客さんと積極的にコミュニケーションを取るのも特徴の一つ。Moonloop Cafeで働くことがめちゃくちゃ楽しいと話す隅本さんは、そんな日々を通して新たな夢ができたという。「Moonloop Cafe音楽カフェ版」のようなものが理想とのこと。きっかけは去年4月、Moonloop Cafe初のイベントとして開催した自身の弾き語りライブ。カフェの空間に音楽が加わることで視覚障害のあるなしに関わらずみながより心を開けたように感じたことから定期的にライブを開催するようになった。そしてこの春から通う大学院では学術的な側面からもカフェに音楽がもたらす効果を研究し始めた。無意識に諦めていた夢が現実となりそこから芽生えた新たな夢へと歩き出した今、隅本さんは「Moonloop Cafeに自分が立つ以上は障害の有無に関わらず無意識下で諦めてしまうような夢や目標に対して一歩背中を押してあげられるようなそんなカフェにしていきたい。」などと語った。


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