進まぬ”国民保護” 台湾有事で国民の命をどう守るのか

2024年2月13日放送 23:35 - 23:44 NHK総合
時論公論 (時論公論)

有事の際、国や自治体、指定された公共機関が住民の避難、救援にあたると国民保護法で定められている。成立から今年で20年となるが、有事を想定した対策は進んでこなかった。一昨年改定された国家安全保障戦略には国民保護の体制強化が盛り込まれ、「武力攻撃に先立って南西地域を含む住民の迅速な避難を実現する」とされている。南西諸島の島々の連なりは第1列島線とされ、中国にとっては防衛ラインと考えられている。同時に中国の太平洋進出を妨げる障壁でもあり、日米が抑止力の強化を図っている。台湾有事の際、南西諸島は攻撃をうける可能性は否定できないという。ただ、島民を避難させるとなると航空機か船舶のみで、避難生活も長期に及ぶ可能性がある。
先月、国民保護の訓練が沖縄、鹿児島県で行われた。自衛隊ヘリが使われたが、避難の際、自衛隊に頼ることは難しいといえる。沖縄では国との共催で、図上訓練を実施。空港や港までを運ぶ車両、運転手が足りないなど、細部の調整が不完全では避難が途中で目詰まりを起こしかねないことが浮かび上がった。また、離島避難の準備に必要な人手、時間も不足している。住民の安全のためには武力攻撃が始まる前の避難開始が重要だが、政府の迅速な判断と事態認定が必要。ただ、自衛隊の「防衛出動」にも繋がりうるだけに高度な判断が求められる。それを国民全体へどう説明するのか、問われることになる。


キーワード
国士舘大学自衛隊沖縄県庁国家安全保障戦略南西諸島武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律屋久島町(鹿児島)防衛出動武力攻撃事態沖縄県第1列島線中林啓修

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