- 出演者
- 岩渕梢
梶原崇幹解説委員の解説。政府は能動的サイバー防御を導入するための法案を閣議決定し国会に提出。年末〜1月にかけてサイバー攻撃で航空会社の手荷物を預けるシステムなどに不具合が出たり、金融機関のインターネットバンキングが利用しにくくなったりした。能動的サイバー防御とは、基幹インフラや政府機関に対する重大なサイバー攻撃を防ぐため、政府が平時から一定の通信情報を活用して攻撃に使われているサーバーなどを把握し必要があればアクセスして無害化する措置のこと。欧米の主要国ではすでに導入されている。政府や自治体に加え、基幹インフラである電気やガス、鉄道などの15の事業213の企業や団体が対象。政府が導入を目指す能動的サイバー防御は大きく3つの要素からなる。政府と基幹インフラ事業者の官民連携の強化、通信情報の活用によるサイバー攻撃の検知、攻撃元サーバーへのアクセス無害化。憲法21条では、「通信の秘密は、これを侵してはならない」と定められているため、国の安全保障のためにどの程度の制約であれば許されるのかという問題。日本国内でやり取りされる通信は収集の対象にはならず、これまでどおり保護される。一方、海外から日本、日本から海外への通信は収集の対象になる。また日本を経由する海底ケーブルを通して海外の間でやり取りされる通信も収集の対象になる。政府はメールの本文が閲覧されるようなことはないとしている。法案では、通信情報の利用を適正に行っているかを監督するため、高い独立性が確保されたサイバー通信情報監理委員会という機関を設けるとしている。委員会は、裁判官やサイバーセキュリティーの専門家5人で構成される。
梶原崇幹解説委員の解説。政府が導入を目指す能動的サイバー防御:政府と基幹インフラ事業者の官民連携の強化、通信情報の活用によるサイバー攻撃の検知、攻撃元サーバーへのアクセス無害化。サイバー攻撃または、その疑いがある通信を検知した場合に、監理委員会の承認を得たうえで攻撃元のサーバーにアクセスし、攻撃プログラムを停止したり削除したりする。対応するのは主に警察になるが、国の行政機関や基幹インフラなどが国家と関わりのあるようなグループから、極めて高度な手法を用いて攻撃を受けたと見られる場合には警察と共同で自衛隊が対応することになる。2023年5月、アメリカ政府は中国政府が支援するとされるボルトタイフーンと呼ばれる攻撃グループが、高度な能力を駆使してグアムにある軍の施設を含むアメリカの基幹インフラに侵入を繰り返していたと発表した。自衛隊の対応はこうした事例を念頭においているものと見られる。国会審議の焦点:「通信の秘密」守られるか、チェック機関は機能するか、無害化措置は外交問題に発展しないか。今回の法案はサイバー空間で行われる国家間の争いが激しさを増していることが背景にある。一方で、通信の秘密は海外の事例を見るまでもなく、政治によって容易に侵害されうるものでもある。人権を保障しながら安全保障上の懸念にどう応えていくのか、国会での熟議に期待したい。
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- ボルト・タイフーン
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