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熊本市西区の慈恵病院。1人の女性から緊急の連絡が入り、蓮田院長が対応に追われた。女性は妊娠の事実を家族に知られるのを恐れていて、破水し車で病院に向かっていた。一度も病院を受診しておらず、早産の可能性もある。病院の新生児相談室では24時間体制で相談を受け付けている。妊娠を周囲にかせない女性からのSOSは後を絶たない。
オープニング映像。
2021年、臨月を迎えた女性から病院に緊急の連絡が入った。パートナーから暴力を受け、妊娠を告げると関係を絶たれた臨月を迎えた女性。院長は駅まで迎えに行き、保護した。女性は将来子どもが希望した時に開封してほしいと、保険証のコピーなどを残して病院を後にした。赤ちゃんは特別養子組に向けた手続きが取られた。国内初の内密出産だった。内密出産では病院以外には、身元を明かさずに出産する。赤ちゃんは要保護児童となり、児童相談所が一時保護。病院は親を知る手がかりとして、母親の身分証のコピーや手紙などを保管。これまでに21例の内密出産が行われた。病院が内密出産を受け入れる背景には、孤立した母子と向き合ってきた経験がある。親が育てられない子を預かる「こうとりのゆりかご」を2007年に開設した。預け入れの半数以上が危険が伴う自宅や車での出産であると判明。ゆりかごに乳児の遺体が遺棄されたこともあり、院長は弁護側の証言にも立った。
さめじまボンディングクリニックの鮫島院長孤立した母子を公的支援につなげることが重要で、内密出産にならないような支援を追及すべきと指摘する。これまで200件以上の特別養子縁組に関わり、多くの女性が妊娠を家族に打ち明けられないと話したという。
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2022年2月、内密出産に関する法律はない。当初は違法行為にあたるのか、赤ちゃんの戸籍を作成する手順すら明確ではなかった。蓮田院長は国会で制度面の整備を訴えた。一昨年、国はガイドラインで戸籍作成の方法などを示したが、内密出産を推奨するものではないとの立場を明確化し、法整備には踏み込まなかった。こうした中でも慈恵病院を頼る女性は後を絶たない。病院が寄り添うことで、女性が自ら育てる決心をすることも少なくない。新生児相談室には、去年1600人以上から相談が寄せられた。
熊本の慈恵病院は内密出産を受け入れている。東日本に住む女性は、妊娠後一度も病院を受診していなかったが、飛行機内で陣痛がやってきた。家族に妊娠を受け入れられないと話したという。臨月を迎えていたことが病院等到着後に判明。身元を明かしてもらう前提で、現地の病院に行ってもらうべきだったのか、蓮田院長は自責の念にかられていた。内密出産の帝王切開では家族の同意は得られず、もしものことがあれば、訴えられる可能性もある。病院で開かれた臨時の会議。ゆりかご開設から17年。子どもたちが成長するに連れ、「知りたい」に答える重要性が高まっている。
慈恵病院の竹部看護部長。この日、東日本から病院を訪ねてきた少年を案内した。この病院ではこうのとりのゆりかごを開設し、なんらかの事情がある赤ちゃんを預かっている。少年は「預け入れ当時のことを知りたい」と話したという。病院には預け入れ当時の記録が保管されている。少年は赤ちゃん当時の自分の写真を見ると嬉しそうだったという。生い立ちを知りたいと病院を尋ねる人数は年々増えている。
去年4月、ゆりかごに預けられた一部の養育者を対象に熊本市が初めて実施した真実告知に対する実態調査。67%が養子であることを伝えていたのに対し、ゆりかごに預けられていたことを伝えていたのは18%に留まった。ゆりかごや内密出産について、子どもの出自を知る権利を保障するための指針は国内には存在しない。国は母親の身元情報の管理や子どもへの開示について、病院に委ねている。こうした中、慈恵病院と熊本市は協同で検討会を設置した。
内密出産を希望する女性からSOSが寄せられた。女性は未受診の状態で来院。コロナ禍で職を失い、やむを得ず始めた夜の仕事で妊娠したことを打ち明けた。新生児相談質によるとと、子どもに情報を残したくないという人はいないという。病院ではゆりかごや内密出産おこにアルバムを作っている。
