- 出演者
- 桑子真帆
ノーベル平和賞に選ばれた日本被団協。選ばれた理由は被爆者の証言が核兵器を使ってはならないという核のタブーを築き上げたこと。しかしその道のりは厳しいものだった。被爆者お訴えをどう未来へ繋いでいくのか考える。
オープニング映像。
1945年8月、人類史上初めて市民の頭上に投下された原子爆弾。国からの支援はなく被爆者たちは差別や偏見に苦しんだ。18歳の時に被爆した阿部さんは右半身を大やけどし顔などにケロイドが残った。被爆者たちが声を上げるきっかけとなったのは1954年、アメリカが行った水爆実験で第五福竜丸の乗組員が被爆したことだった。阿部さんら被爆者たちは救済を求めて国に直訴。1956年、日本被団協が結成。しかし東西冷戦の最中で核兵器の開発競争は激化。核兵器の廃絶を訴えるため被爆者たちが苦しい体験を証言する中で突きつけられたのは核大国アメリカとの埋めがたい溝。対話の道を探ったのは前代表委員の坪井さん。アメリカ人から「戦争で傷ついたのはアメリカ人も同じ」という言葉をかけられ、自らの怒りと向き合うきっかけになったという。2017年、核兵器禁止条約が採択される。条約には被爆者が受けた苦しみに留意すると記された。
齋藤紀さんは葛藤の中で亡くなっていかれた人たちにとっても解決の一つとしてこの受賞は本当に良かったと言いたいなどと話した。2017年に採択された核兵器禁止条約では73の国と地域が批准しているが核保有国は不参加。日本も参加していない。石破茂首相は日本の周りは核保有国だらけとした上でアメリカの核抑止力が効いているそれに頼りながら禁止というのをどう両立させるかだと述べた。
ロシアは戦術核の部隊の軍事演習を実施。同盟国ベラルーシにも戦術核配備を進めている。そんな中でのノーベル賞受賞について、国連軍縮部門トップ・中満さんは「核兵器禁止条約の交渉・採択の過程で被爆者の証言がいかに占める比重が大きかったか。理解されるようになったのはまさに被爆者の証言があったからこそ」などと話す。
齋藤紀さんは「証言の力は言葉を変えれば核の非人道性に関わるもの」などと話した。今回、証言に加えてノーベル平和賞の選考委員会が評価したのは新しい世代への継承。
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長崎では原爆資料館に足を運んでもらうキャッチコピーを高校生に考えてもらう研修会が開かれた。しかし被爆者の声を届ける難しさに直面している若者もいる。平和活動を行う団体の代表・大澤さんたちは被爆者の証言をSNSで発信する活動などをしている。大澤さんの活動の原点は被爆者の曽祖母から一度だけ聞くことができた被爆体験。高校生から活動を始めたが被爆者の声を同世代に伝えることは容易ではなかった。さらに仲間の大半が就職や進学などを機に活動を辞めていくという。平和活動に意味があるのか大澤さん自身も自問自答してきた。その最中に届いた受賞決定の知らせ。続けることの意味を再認識したという。
新しい世代へ期待することについて、齋藤紀さんは「被爆者の証言を受け止めて欲しい。同時に困難さも分かる。被爆者の語りの中から自分の琴線に触れるものが必ず掴み出すことができると信じている」などと話した。被爆者の平均年齢は85.58歳、日本被団協の所属団体も11団体が解散・休止している。
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森瀧春子さんは「せっかくの機会をただ喜ぶそういうものではいけない。決意を新たにする新しいスタート」、原田浩さんは「一つの大きなきっかけにできれば」、木戸季市さんは「武力ではない対話なんだ」、阿部静子さんは「原爆被害のことを世界の人に知ってもらえたら」と話した。
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