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今回、京都のガラス工芸を特集する。都ではガラスはもてなしの器として珍重され、精緻な加工技術から高い気密性を誇るガラスの茶筒、ガラスを用いた枯山水も誕生している。
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- 角屋もてなしの文化美術館
京都・東山区には江戸時代に創業した老舗和菓子店が営むカフェがあり、ガラスの器が夏限定で使われている。器がくず餅の存在感を際立たせ、涼やかさも演出している。カフェの隣にある専門店が制作を手掛け、目利きの料理人たちのニーズに応え続けてきた。
料理人たちのオーダーに応えるのがガラス作家の佐藤聡氏で、料理人の松本進也氏が「氷をイメージしたような感じ」と器の制作を依頼した。佐藤氏は試作を重ね、2ヶ月後、完成品が店に届けられた。松本氏は選んだ器に丸く削った氷を入れ、穴子を盛り付けた。
荒木桜子さんは普段遣いのガラス食器を作り続け、20年以上のキャリアを誇る。父は清水焼の陶工で、手掛けた陶器は生活に根付いていた。扱う素材は違えど、荒木さんは使いやすい形状、重さを見極める感性が養われたという。
京都にある機器メーカーは明治8年に創業し、ノーベル賞受賞者も輩出した。記念館には明治時代に製造された理化学用のガラス機器が展示されている。同メーカーにガラス製の部品を納品している町工場があり、ガラス管を加工することで作っている。
山口信乃介氏は気密性の高いガラスの茶筒を生み出した。0.01mmの誤差も許されないなか、バーナー加工、卓越した研磨により、成し得ることができるという。山口氏の工場ではミニチュアサイズのガラス食器、仏像の眼の部分に用いられる玉眼なども手掛ける。
西田幾多郎がよく散策していたこともあり、哲学の道と命名された道の近くには法然院がある。アーティストの発表の場、ギャラリー会場としても使われ、参道にはガラスの枯山水がある。世界を舞台に活躍するガラス作家、西中千人氏の作品「つながる」で、リサイクルガラスを活用することで命の循環を表現しているという。
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