2025年6月3日放送 22:00 - 22:45 NHK総合

幻の骨 〜日本人のルーツを探る〜

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(オープニング)
番組紹介

半世紀前に発見されたものの、長らく行方不明だった顎骨が見つかった。旧石器時代の女性のものと鑑定され、「日本最古の人骨か」と話題を集めた骨である。鑑定したのは考古学者の直良信夫で、松本清張は学会に軽視されていた直良をモデルにした作品を執筆した。そして、最先端の技術を結集し、化石の分析プロジェクトも始動。

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夜見ヶ浜人早稲田大学松本清張直良信夫石の骨
(幻の骨 日本人のルーツを探る)
幻の骨を18年追い続けた男

我々の祖先が日本列島に初めてやってきたのは約4万年前とされ、旧石器時代にあたる。そんななか、56年前、化石採集を趣味とする工事現場の責任者が鳥取・境港市で顎骨を発見した。見つかった顎骨が4万年前に近いものと判明すると、教科書を書き換えるほどのことだという。1977年、早稲田大学から東京大学に移送されたが、郷土史家の根平雄一郎氏が気になって問い合わせると、骨は行方不明になっていた。根平氏は調査の過程をまとめ、昨冬に本を出版している。そこには考古学者である直良信夫への思いがあるという。

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不遇の学者と松本清張

直良信夫は独学で考古学を学び、29歳だった1931年、明石の海岸で腰骨の化石と思しきものを発見した。「日本最古の骨」と鑑定したが、当時の学会の見解は「日本に旧石器時代はない」で、直良は嘲弄された。その直良は早稲田大学で化石整理の仕事を見つけ、考古学を学び始めるも、腰骨は東京大空襲で焼失。1955年、作家になって間もない松本清張は直良をモデルにした「石の骨」を発表する。学会の権威、官僚主義によって軽視される在野の人々の姿に松本が怒りを覚えたことが執筆の動機かもしれないという。

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わたしの自叙伝北九州市立松本清張記念館早稲田大学松本清張直良信夫石の骨臼杵市(大分)
巡ってきた”復権”のチャンス

春成秀爾氏は考古学界の重鎮で、直良信夫を生涯の師と仰ぐ。中学時代、直良の描いたスケッチに感嘆し、文通を交わすこととなった。その直良から下顎骨を発見したと知らされた。直良は骨を夜見ヶ浜人と命名し、旧石器時代のものと発表。だが、学界の反応は冷ややかで、下顎骨自体も行方不明となった。2024年4月、長崎潤一教授が段ボール箱を整理していたところ、下顎骨を再発見。長年にわたって探し続けてきた郷土史家の根平氏は知らせを受け興奮のあまり、妻の美保子さんとハグをしたという。

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夜見ヶ浜人早稲田大学直良信夫
動き始めた分析プロジェクト

夜見ヶ浜人の骨は鳥取・境港市の地下6mから出土したが、旧石器時代の地層は地下20m以上にあたる。人類学者の海部陽介氏は下顎骨をCTスキャンにかけたところ、空洞から砂が見つかった。地質に精通する瀬戸浩二教授が観察すると、境港ではなく別の土地で詰まった可能性を指摘する。海部氏らは夜見ヶ浜人の発見場所近くで出土した縄文人の骨を見せて貰うと、「やっぱり夜見ヶ浜はちょっと変わってる」と吐露。東京大学で年代測定が行われることになり、米田穣教授は骨を削っていった。2年以内に分析結果を出したいという。海部氏らは学界から軽視されながらも、研究を続けた直良信夫に敬意を表する。直良をモデルに作品を執筆した松本清張は直良本人から送られてきた手紙を大切に保管していた。

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(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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