2023年10月23日放送 22:00 - 22:45 NHK総合

映像の世紀バタフライエフェクト
選RBG 最強の女性判事 女性たち 百年のリレー

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(オープニング)
今回は…

「アメリカの宝」と称された女性、ルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事。尊敬を込めて「RBG」と呼ばれた彼女は半世紀に渡り法廷に立ち続け、性別に基づく不平等の解消に全力を尽くした。彼女の登場に至るまでの100年には、幾多の女性の闘いがあった。20世紀初頭に女性参政権を訴えたエミリー・デイヴィソン、1930年代に誰も成し遂げられなかった大冒険に旅立ったアメリア・イアハート。今回は自由と平等を求めて闘い続けた女性たちの物語。

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アメリア・イアハートエミリー・デイヴィソンルース・ギンズバーグ
オープニング

オープニング映像。

(映像の世紀 バタフライエフェクト)
RBG 最強の女性判事 女性たち 百年のリレー

大英帝国の絶頂期を築き上げたヴィクトリア女王の死によって幕を明けた20世紀。厳格で保守的な彼女が長年に渡り統治を続ける中で、社会において女性は貞淑と気品を持ち合わせた妻となり、夫に尽くすべきという考えが根付いた。しかし、女王の死によって多くの女性達は自らの地位を変革させるべく、女性参政権を求める運動を開始する。この運動に身を投じていたのがオックスフォード大学で学んだエミリー・デイヴィソン。彼女は仲間と共に国会議事堂前で訴えを行ったが、駆けつけた警官たちによって女性達は激しい暴行を受け、デイヴィソンも投獄され拷問を受けた。これに対してデイヴィソンは仲間と共に建造物への放火や柔術の取得を行うことで対抗し、逮捕された回数は実に9回に及んだ。そして、1913年の6月4日。デイヴィソンは国中が注目する競馬レース中にコースへ乱入。猛スピードで走る馬に跳ねられてデイヴィソンは命を落としたが、その手には女性参政権を求めるスカーフが握られていた。彼女の葬儀には5000人の女声が参列したが、男性からはレースを台無しにしたことを激しく糾弾されたという。

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第一次世界大戦が始まると、皮肉なことに女性たちの地位は向上していくことになる。戦地に向かった男性に代わり工場では多くの女性が働き、彼女らはそれまでとは異なる装い「ズボン」を着用して作業を行った。こうした女性の活躍もあって、イギリスでは1919年に女性参政権が認められることになる。翌年にはアメリカでも女性参政権が認められたが、ここで全国女性党を立ち上げて参政運動を率いていたアリス・ポールもデイヴィソンから影響を受けたうちの1人だった。

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その後、アリスが設立した全国女性党には女性パイロットのアメリア・イアハートが入党する。イアハートは1928年の大西洋横断飛行で多大な名声を博していたものの、実際に操縦桿を握っていたのが男性パイロットであることが明らかになると人々から一斉に嘲りを受けた。これを跳ね返すため、イアハートは1932年に単独での大西洋横断飛行に挑戦。これを成功させることで、彼女は自らの不名誉を払拭すると同時に多くの女性に勇気を与えた。イアハートは好きな仕事に就くことのできない女性たちに勇気を与えるために飛び続けており、将来の夢は女性が活躍できる機械工場を作ることだと常々語っていた。その後もアメリカ大陸横断などの冒険を次々に成功させたイアハートは1937年に世界一周飛行に挑戦。「男性がまだ成し遂げていないことをする」と語って6月にアメリカ本土を飛び立ったイアハートだが、彼女は再び陸地に降り立つことなく太平洋上で行方を絶つ。多くの女性に勇気を与えながらも、一切の痕跡を残さぬままに空へと消えていった。

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イアハートの冒険は多くの物語となり、NYに住む1人の少女の元へと届いた。ルース・ベイダーという名の少女は彼女の冒険に小さな胸を踊らせた。彼女が幼少期を過ごしたアメリカでは女性の75%が専業主婦として家庭に奉仕していたが、成長したルースはイアハートのように家庭ではなく仕事に人生を捧げる道を選ぶ。弁護士を志したルースは1956年にハーバード・ロースクールに入学し、1959年に弁護士資格を取得。しかし、男性が97%を占める弁護士の世界でルースを雇う事務所はなく、なんとか判事の助手になるのが精一杯だった。転機となったのは1960年代の公民権運動に端を発したウーマンリブ運動で、女性の権利を守るプロジェクトをスタートさせたアメリカ自由人権協会の法律顧問としてルースが指名される。ルースは法廷でその手腕を遺憾なく発揮し、弱い立場の男性や女性の権利を獲得するための裁判に次々と勝利し社会の平等に向けて連戦連勝を飾った。

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1993年になると、ルースは史上2人目となる連邦最高裁判所の女性判事に任命される。性別による差別撤廃に向けた機運が一気に高まる中でアメリカでは働く女性の数が2倍に増加。しかし、依然として女性の昇進を阻む「ガラスの天井」は存在し続けていた。ルースもまた、1996年にバージニア州立軍事大学への入学を拒まれた女子高生の裁判を巡ってガラスの天井に立ち向かうことになる。判事の中でも意見が別れる中、審議の末に大学の判断は違憲だとする判決が下された。この翌年、大学には30人の女性が入学。現在に至るまで600人の女性が卒業した。

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2015年になると、最も分厚いガラスの天井に挑む女性が現れた。女性初の大統領を目指したヒラリー・クリントンだ。ギンズバーグの活躍に影響を受けたヒラリーはドナルド・トランプを相手に選挙戦を戦うも、下馬評を覆す敗北を喫する。ヒラリーは「このガラスの天井はどこまでも高く分厚いが、いつか打ち破ってくれるだろう」と述べ、少女たちに向けた激励の言葉を残して選挙戦の舞台から降り立った。トランプの勝利は80歳を超えたルースにとっても大きな意味を持っており、彼の任期中に倒れてしまえば自身の代わりに保守派の判事が指名されることは明白だった。4年後まで倒れる訳にはいかないと決意を新たにしたルースは不屈の精神で3度のガンを乗り越えて法廷に立ち続けたが、運命は彼女に味方しなかった。2020年9月18日、ルースはガンの合併症により87歳の生涯を終える。彼女の遺体は最高裁判所と連邦議会に安置され、世界中から追悼のメッセージが寄せられた。

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23年前、ルースの判決によってバージニア州立軍事大学への入学を果たしたジェニファー・キャロル・フォイ。彼女は卒業後にルースと同じ弁護士の道に進み、バージニア州知事を目指している。2021年にはエミリー・ディヴィソンの像がロンドンに建てられた。

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エミリー・ディヴィソンは「誰もがより良く生きられる未来を願って行動した」との言葉を残し、アメリア・イアハートは「いつか女性であるという事実が意味をなさなくなる日が来ると信じている」と述べた。そして、ルース・ベイダー・ギンズバーグは「私が生きている間に実現しなかったとして、私は希望を持ち続ける」と述べていた。

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(エンディング)
エンディング

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次回予告

映像の世紀 バタフライエフェクトの次回予告。

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