- 出演者
- 藤下超
オープニング映像。
2021年2月、ミャンマーでクーデターを起こした軍はアウンサンスーチー国家顧問ら政権幹部を拘束し全権を掌握したと宣言した。軍は平和的な抗議デモを武力で鎮圧し多くの市民が殺害された。民主派勢力は武器を取り少数民族勢力とともに抵抗を続けている。ミャンマーでは軍による著しい人権侵害が続いていて、弾圧や拷問などで死亡する人が後を絶たない。国内避難民は320万人にものぼり、ヤンゴンでは1日16時間停電するなど国民生活は危機的な状況に置かれている。一方、現在までの戦いでミャンマー軍は劣勢との見方が強い。去年9月まで駐ミャンマー日本大使を務めていた丸山市郎氏は内戦について「ミャンマーの歴史の中で国軍が武装少数民族勢力の戦いでこれほど劣勢になるということは一回もなかったこと。果たして国軍がその全てを敵に回し国民の支持も得られない中でどこまで存続できるのか。誰も予測ができないステージに入っている」と話した。軍は「民政移管」のためと称しことし総選挙を実施する予定で、選挙を通じて軍に近い政権を樹立し国際的承認を得ようとしているとみられている。しかしアウンサンスーチー氏ら政権幹部は拘束されたまま、与党の登録も抹消の状況で行われる選挙について民主派勢力は「選挙はまやかしだ」と主張。選挙が強行されれば抵抗勢力による妨害でさらなる混乱を招くおそれがある。ミャンマー総選挙の実施を中国は積極的に支持。地理的にミャンマーはインド洋につながる重要な拠点とみなしており、また、中国向けレアアース鉱山を少数民族武装勢力が占拠していることなどから、民主派が政権を握る事態になれば自らの権益に大きな影響をおよぼすと懸念しているとみられている。G7の一員である日本は軍の政権を承認しない一方、軍とのパイプは維持し、拘束された人々の解放を求めてきた。また、ASEANとも連携し暴力の停止や対話などを求めている。丸山氏は「日本としてどうミャンマーに関わるか真剣に考える時。重要なのはミャンマー国民の側に立った視線」と語った。
エンディング映像。