2026年4月1日放送 23:30 - 23:40 NHK総合

時論公論
日銀短観 イラン情勢緊迫化で日本経済は?

出演者
井村丈思 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(時論公論)
イラン情勢緊迫化で日本経済は?

日銀短観は日銀が全国の企業約9200社を対象に3か月ごとに行う調査で回答率が99%と極めて高く重要な経済指標の一つとされている。今回の回答期間は2/26~3/31。この期間にはアメリカとイスラエルがイランを攻撃し、これを受けてホルムズ海峡が事実上封鎖された。3月上旬にはWTI先物が1バレル119ドルを超えて記録的な高騰を見せ、その後日本ではレギュラーガソリンの全国の平均小売価格が過去最高となった。イラン情勢に国内外の経済が揺れる最中での調査として注目度が高まっていた。景気の現状について「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数は大企業の製造業で+17ポイントと前回より1ポイント上昇した。半導体の需要が旺盛で、関連する業種で販売が伸びたことなどが主な要因。また、大企業の非製造業は+36ポイントで前回から横ばいだった。一方、今回の短観で際立ったのが3か月後の先行きについて大企業・中小企業ともに悪化を見込んでいること。製造業では16業種のうち悪化の見通しを示した数が前回の6から11に増えていて、先行きへの警戒感が幅広い業種に広がっていることがうかがえる。企業が業績の悪化に身構える背景にあるのが原材料の価格のさらなる上昇や安定調達への懸念。原油は輸入の9割を占める中東からの調達が難しくなり、イラン攻撃前と比べ高値が今も続いている。燃料価格の上昇のほか、原油から作られるナフサを原料にした石油化学製品の減産・値上げが相次いでいる。原油以外にもLNGは日本が調達するものの多くが下乳に連動する価格で契約しているとされ、電気・ガス代の値上がりつながる可能性がある。アルミニウムも原料の新地金の約2割を中東地域から輸入していて、取引価格が上昇傾向にある。短観では仕入価格について「上昇」から「下落」を差し引いた値が現状で、大企業の製造業が前回より6ポイント、非製造業で4ポイント上昇した。国内では公共交通機関で燃料の軽油を調達する入札で落札者が決まらない事態が相次いでいる他、入浴施設が燃料を確保できず休業するんあど事業への影響がすでに出始めている。短観の販売価格について製造業・非製造業とも指数が上昇し、先行きの上昇幅も一段と高まる見通しが示された。消費者物価指数の上昇はことし2月に3年11か月ぶりに2%を下回ったが、原材料費などが転嫁されることで再び2%を超える可能性も否定できない。

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売上高経常利益率の今年度の見通しについて、中小企業は4.19%と前の年度より低下する見込みが示された。大企業の見通しと比べても5ポイント余低く、依然大きな開きがある。賃上げに必要な原資の確保が中小企業で難しさを増している。また、短観では企業の想定為替レートも尋ねていて、今年度は1ドル150円台と昨年度の想定から円安方向に進んだ。一時1ドル160円を突破するなど想定以上の円安が続いている。円安は中小企業にとっては輸入コストの上昇を通じ収益を悪化させる傾向があるとされる。ことしの春闘はこれまでのところ賃上げ率5%台の高い水準となっているが、中小企業は大企業よりも低く6%以上とする連合の目標には届いていない。イランへの軍事作戦が起きる前、政府や多くの専門家は今年度食料品などの物価の上昇が鈍る一方、高い賃上げが維持されて実質賃金プラスが定着するとのシナリオを描いていた。また、日銀は2%の物価安定目標の実現に向けて引き続き政策金利の引き上げを目指す方針を示していた。イラン情勢の緊迫化でこの見方に不透明さが増している。日銀の植田総裁は先月の会見で「原油価格上昇に伴うリスクシナリオが新たに登場」と述べている。ここでのリスクとは基調的な物価が原油価格の上昇で上振れするリスクと、輸入コストの増加が景気を冷やし下振れするリスクを指す。当初は想定していなかった要因で難しい政策判断が迫られている。イラン情勢をめぐっては政府もガソリンの急激な値上がりを抑えるための補助金に1兆円余の予算を組むなど対策を講じているが、事態が長引けば国の財政負担が一段と膨らむ恐れもある。一方、世界では事態の長期化に備え石油製品の需要を抑える対策を打ち出す国も相次いでいる。

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