- 出演者
- 大本彩乃(Perfume) 西脇綾香(Perfume) 樫野有香(Perfume)
今回は蔦屋重三郎が手掛けた3枚の浮世絵の秘密に迫る。
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オープニング映像。
江戸時代、浮世絵は庶民の娯楽として親しまれ、1枚400円程度の安価な値段で販売されていた。浮世絵版画はいくつかの工程に別れて制作されており、それぞれの工程は絵師・彫師・摺り師など多くの職人が担当。これらの職人を纏め、絵師と作風を決めるのが版元で、浮世絵や本の出版を担う出版社のような存在だった。蔦屋重三郎も版元の1人で、浮世絵の黄金時代を築いた人物として知られている。
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蔦屋重三郎が手掛けた浮世絵の1枚が歌麿の美人画「ポッピンを吹く女」。美人画は当時のファッション誌のような役割を担っていたもので、美しい女性の全身像を描くのが主流だった。しかし、「ポッピンを吹く女」は女性の上半身を大きくクローズアップした構図で描かれており、斬新な構図で女性の内面を表現しようと試みた。この挑戦は大きな話題を呼び、「ポッピンを吹く女」は大人気作品となった。
蔦屋重三郎は「ポッピンを吹く女」を描いた喜多川歌麿の才能に早くから目を付けており、自宅に住まわせるなど生活面でも面倒を見ていたという。そんな蔦屋重三郎は江戸の吉原に生まれ、24歳で最初の本「一目千本」を出版。流行を重視した蔦重は狂歌や講談にも興味を持ち、花開いたばかりの町人文化を取り入れた本を次々と出版。自身の書店は大きな人気を博したという。
順風満帆の蔦屋重三郎だったが、江戸後期に松平定信が老中に就任すると、風紀を厳しく取り締まる政策が実行される。蔦重はこの影響で幕府に財産を没収される憂き目に遭うが、これをバネに発表したのが東洲斎写楽の「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」。これは庶民の娯楽として親しまれていた歌舞伎役者の姿を描いた役者絵で、当時無名だった東洲斎写楽に28枚もの役者絵を描かせるという大勝負で生み出されたものだった。蔦重はこの役者絵を歌舞伎の公演日に合わせて発売することで爆発的な売上げを出すことに成功したという。そのうちの一枚、「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」は役者が行う演技中の動作「肌脱ぎ」を大きくクローズアップしたもので、独特の躍動感と色気を表しているのだ。
もう一枚の役者絵「市川蝦蔵の竹村定之進」は線の濃淡を巧みに使い分けた写楽の腕前が存分に発揮された作品。これに加え、蔦重は背景を雲母の粉を用いた絵の具で彩色し、光を当てると輝く仕上がりを実現させた。雲母は非常に高価な代物でもあったため、当時無名の絵師だった写楽のデビュー作にこれほど大量の雲母を使ったという点からは蔦重がこの役者絵に賭けた覚悟の程が伺える。
特別展「蔦屋重三郎コンテンツビジネスの風雲児」が6月15日まで東京国立博物館平成館で開催中。
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