- 出演者
- -
世界最悪言われるゲームがある。すごろくの用に国境を越えて駒を動かし、目指す国までたどり着けば巨額の金を手にすることができる。その駒というのは命がけで亡命する難民たち。難民の数は過去最多の1億1000万人を突破した。多くの難民が中東からEUへと向かう。その道程はバルカンルートと呼ばれている。各国は移民や難民の受け入れを厳しく制限し国境警備を強めている。その抜け道を探して難民たちの不法入国を手引きしているのが運び屋。運び屋たちはそれをゲームと呼んでいる。行くあてのない難民たちが最後にすがる運び屋のゲーム。6000kmの逃避行を追った。
EUの中で最も多くの移民や難民を受け入れてきたドイツ。アーマド・ワリさん夫婦は8年前に運び屋の手を借りてアフガニスタンから逃れてきた。祖国では政治家の秘書を務めていた。アーマドさんは今、弟のために運び屋を探していた。アーマドさんの家族は祖国・アフガニスタンで命を狙われているという。父は前政権の政治家だったため、タリバンから前政権のスパイだと疑われている。1番目の弟はタリバンに銃撃され死亡したという。正規ルートでの亡命は不可能に近いため信頼できる運び屋を探さないといけない。ここ数年SNSを使って客となる難民を集める運び屋が急増している。しかしその実態は動画の謳い文句とはかけ離れている。運び屋は本当のことは教えない、ウソをついてゲームに誘い混んでいるという。
アーマドはメッセージを送った、イランの運び屋・アリと直接話した。イランからトルコまで41万円かかるという。アーマドはゲームの代金を支払うためにスーパーを訪れた。このスーパーは裏で違法な地下送金所「ハワラ」を行っていた。ハワラは100年以上も前から続くイスラム社会の送金ネットワーク。簡単な手続きで早く送金でき、公的な記録が残らないため裏社会でも使われている。アーマド40万円あまりを運び屋に送金した。ついに弟が出発。隣のイランには短期ビザで入国。そして運び屋が偽造パスポートを用意しトルコへと駒を進める。その先も国境ごとに追加のゲーム代金を運び屋に支払いEUを目指す。
2023年8月15日、弟のラシードは亡命の道のりを記録したいと撮影を始めた。8月23日、ラシードはアフガニスタンを出発しイランに入国。他の難民と合流し、運び屋に指定されたトルコ国境近くの町に移動。難民たちはゲームの出発まで待合室と呼ばれる小屋で待機しなければならない。9月2日、ラシードは偽造パスポートを手に国境へ向かった。しかし警察の検問があり、待合室へ引き換えした。9月8日、ラシードはトラックの荷台に乗せられ出発。この日も理由を告げられないまま引き返すことになった。
運び屋とは何者なのか、バルカンルートで最も多くの運び屋が集まっているトルコでその実態に迫った。繁華街の外れに移民や難民が多く集まる地区がある。かつて運び屋が出入りしているレストランがあったが、今はパトロールが強化され、運び屋は来なくなったという。多くの難民がEUに押し寄せたとき、運び屋と活動していたのは各国のマフィアだった。近年、国境警備が強化され表には姿を見せなくなっているという。以前、運び屋をやっていた男性に話を聞いた。2021年まではギリシャまでは簡単に運べた。1人4000ドル。手下に3000ドルで運ばせ、儲けは1000ドルだという。さらにとある日用雑貨店がいまも運び屋の窓口になっていた。身元を明かさない条件で、難民との交渉の一部始終を記録することが許された。ゲームに必要に道具はこの雑貨店ですべて揃っていた。取材を続けて10日あまりバルカンルートの運び屋を束ねる人物に接触することができた。男は誰一人と死なせたことはなく、金のためではなく名誉のためにやっているという。年々、取り締まりが強化され組織にとって、かつてのうまみはなくなってるという。大きな組織が手を引く変わりに現れたのがSNSを使って客を集める小さな運び屋のグループだという。難民は近年増え続けている、運び屋はウソまみれのゲームでそれを餌食にしている。
- キーワード
- イスタンブール(トルコ)トルコ
ラシードはまだトルコ国境を越えられずにいた。9月13日、3度目のゲーム。たどり着いたのは険しい山道。国境を目指して歩き続けたがたどり着く気配はなかった。運び屋はその場をさり、朝まで置き去りにされた。結局、国境をこえることはできず、山賊に襲われ骨折し700ドル奪われてしまった。アーマドは運び屋に電話し文句をいったらその後、連絡がつかなくなった。9月18日、ラシードはゲームを断念した。
アーマドの友人からもゲームに挑んでいるという連絡があった。アティクラーは元軍兵士。警察の目をかいくぐり、イランからトルコへの国境を突破。4人の仲間とギリシャへ駒を進めようとしていた。そのさきをはセルビアを通り一直線にドイツを目指すという。アティクラーが目指したセルビアは厳しい国境警備を行うハンガリーと接している。行く手をはばかれた難民たちが滞留し国境の町は、緊張が高まっていた。国境警察のトミスラブはこの1~2年、運び屋たちの武装化が進み国境付近は危険が増えているという。利益を巡って運び屋動詞の抗争も起きているという。去年11月から政府は軍と警察を導入して、不法入国社の一斉摘発に乗り出した。これまで数千人が捕まり収容施設に移送されている。難民が撮影した映像には警察が、難民に暴行を加えている様子が記録されていた。ひどい仕打ちをして不法入国を諦めるように仕向けているという。地元住民は柵を壊されたりしてるという。収容施設に移送された男性は「差別されない国に行きたい。人としての尊厳がほしい」などと話した。
EUとの国境地帯では難民への暴行事件の報告が増え続けている。12月18日、アティクラーとアーマドはドイツで再会した。アティクラー警備の厳しいセルビアとハンガリーの国境を避け、大きく迂回するルートでドイツに到着した。
ドイツでの滞在が正式に認められるまでは収容施設で暮らすことになる。収容施設には中東やアフリカなど世界各地から数万人の移民が集まっていた。1年前にドイツに到着した、アミンアラーはかつて500人の部下を従える軍の将校だった。収容施設は出たが仕事は見つからずわずかな補助金で暮らしている。アミンアラーは家族に送金しているため、お金はほとんどない。アミンアラーは運び屋になろうとしていた。
2024年2月、アーマドは父親になり政府の難民支援施設で仕事も得た。しかしアーマドは自分だけ安全な生活を送っていることに大きな葛藤を抱いていた。この日もタリバンの刑務所にいる従兄弟が看守の目を盗んで助けを訴えてきた。弟のラシードがアフガニスタンに帰ってすぐ、地元の町を巨大地震が襲った。1万軒以上の建物が崩壊し1400人以上の人が命を落とした。ラシードはロシア経由でゲームを再会するという。
エンディング映像。
NHKスペシャルの番組宣伝。
100カメの番組宣伝。
神田伯山のこれがわが社の黒歴史の番組宣伝。
プロフェッショナル仕事の流儀の番組宣伝。