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自慢のみかんを分けてくれるおじいちゃん、野村宏さんが暮らしているのは香川県の離島・大島。この島はかつてハンセン病にかかった人を国が強制的に収容した隔離の島。16歳の時に大島に連れてこられた野村さんは74年間この島で生きてきた。
オープニング映像。
大島は島全体がハンセン病の療養所、29人の元患者が暮らしている。野村さんの1日は妻・春美さんと神社にお参りすることから始まる。同じハンセン病の元患者の春美さんとは島で出会い20歳の時に結婚、共に支え合って生きてきた。スーツを身にまとった野村さんは島の自治会で副会長を勤めている。ハンセン病はらい菌によって皮膚や末梢神経が侵される感染症、国は患者を強制的に隔離するらい予防法を定めた。野村さんが生まれ育ったのは高知県土佐清水市、母親に見送られる中バスに乗り込み故郷を後にした。野村さんが60歳になった1996年に国はらい予防法を撤廃、その後強制隔離が過ちだったと認めた。人権の大切さを学ぶため毎年2千人が島を訪れる。野村さんは22年前から語りべとして島での経験を伝え続けている。これまでに島で生涯を閉じた人は2171人、その多くは家族にも縁を切られ遺骨の引き取り手がいないという。
4月、野村さんの元に思わぬ来客があった。故郷・土佐清水市の教育関係者だった。野村さんの経験を土佐清水市で語ってほしいという講演の依頼だという。十数年前にも同じ依頼を受けたが断っていた。これまで故郷に帰ったのは親の葬儀や墓参り、人目を避けての帰郷だった。5月9日、6時間かけて妻の春美さんと土佐清水に帰ってきた。最初で最後と望む故郷での講演。会場には200人を超える人が集まった。そして語ったのは大島で過ごした74年の日々。
大島に戻った野村さんに土佐清水から手紙が届いた。書かれていたのは、ハンセン病に関心を持ったこと、野村さんに直接会ってみたいという内容だった。8月、手紙を書いた小学6年の濱田茉生さんが夏休みを利用して島にやってきた。島中を見学して回った濱田さんはどうしても野村さんに聞きたいことがあった。「宏さんは土佐清水に帰って暮らそうと思いませんか」という質問に野村さんは「大島にいるときに年をとってしまって帰る家はなくなってしまった」などと答えた。10年続ける子どもたちとの交流会、これからもこの島で。
「Dearにっぽん」の次回予告。
