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1.5℃の約束 いますぐ動こう、気温上昇を止めるためにのキャンペーン映像。
私たちが使い捨てにしているプラスチック。それが海から大気まで地球のあらゆる場所に広がっている。今回は大量消費社会がもたらすプラスチック汚染について伝える。
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- アカアシミズナギドリ
去年11月、マレーシアのプラスチックリサイクル工場で火災が発生。この地区では同様の火災が2年間で20件以上発生する異常事態となっている。地元の医師は、廃棄物を燃やすために業者自身が放火したと疑っている。抗議の結果、放火は減ったが、今度は大量の不法投棄が相次いだ。日本からのプラスチックゴミも投棄されている。国際条約でプラスチックごみの輸出は禁止されたが、規制をくぐり抜ける業者が世界各地で後をたたないとみられる。
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- スンガイプタニ(マレーシア)
プラスチック製品は20世紀の夢の発明ともてはやされた。これまでに世界で83億トンが製造され、今も増加し続けている。リサイクルされているのは全体の9%。焼却処分は12%。約8割は埋め立てなどで地球に積み上がっている。大きな問題は一部が海へ流れ出すこと。その量は年間3000万トンと推定される。
プラスチックが海の生態系に深刻なダメージを与える可能性がある。魚などがマイクロプラスチックを取り込むと繁殖への影響が出るという。海洋のマイクロプラスチック濃度をシミュレーションした結果、日本近海でも既に魚介類に悪影響が出る濃度のエリアが見つかった。2050年にはこのエリアが3.2倍に拡大。地球全体の生態系が先細るリスクがある。高田秀重教授は人間への影響についても警鐘を鳴らす。プラスチックに含まれるさまざまな添加剤には有害なものもある。添加剤は食物連鎖によって濃縮されるという。高田教授は添加剤のリスクを慎重に見極める必要があると話した。
2070年のイメージ映像。海のプラスチックごみは10年後に9000万トンに達すると科学者たちは警告している。
ナノプラスチックの存在が明らかになってきたが、小さすぎて検出が難しく、実態は分かっていない。田中周平准教授によると、細菌並みのサイズになったナノプラスチックは排泄されず、血液中に入るという。体内に蓄積して悪影響をもたらすのではないかと懸念されている。ナノプラスチックのリスクを見極める研究が本格的に始まっている。ティーナ・ビュルキ博士によると、ナノプラスチックが胎盤に蓄積する可能性が分かった。胎児への悪影響が懸念される。永淵修博士は大気中に大量のプラスチックが漂っていると指摘する。呼吸や食べ物を通じて人体に入り、どんな悪影響があるかは分かっていないという。
2070年のイメージ映像。
バリ島の子供たちは2013年にレジ袋の禁止を求めるバイバイプラスチックバッグという活動を始め、2019年に使い捨てプラスチックの使用を禁止する法律ができた。活動の中心は当時12歳のメラティさんと妹のイザベルさん。世界の脱プラスチックの潮流を牽引する若きリーダーとなっている。メラティさんはまずプラスチック汚染の問題を描いた絵本を作成し、身近な仲間づくりから始めた。署名を集めて知事に嘆願し、プラスチック禁止を粘り強く訴え続けた。地道な取り組みが、インドネシア全体のプラスチックごみ削減に対する意識変化につながった。
消費者の買い物に対する意識も徐々に変化している。11か国の調査では、環境に配慮した商品を5年前よりも多く買うようになったという人が72%にのぼった。ファッション業界では、高級ブランドが再生ナイロンを使った素材を生地に採用している。
プラスチック容器・包装の大幅削減に向けた取り組みも始まっている。花王とライオンは詰め替え容器のリサイクルを共同で行うと発表。企業の垣根を越えて容器が循環する仕組みを目指している。
テラサイクルのトム・ザッキーCEOは19歳で起業。たばこや歯ブラシのリサイクル技術を開発してきた。たどり着いたのは、ごみという概念をなくすこと。使い捨て容器自体を一切使わない循環型プラットフォームLoopを作り、200を超えるブランドが参加している。アメリカでは既に3万5000世帯が利用。7か国で導入が決定し、日本でも25社が参加して3月からサービスを始める。世界規模で利用者が増えればコストが下がることも考えられる。
プラスチック汚染に関する試算では、可能な限りリサイクルしてもプラスチックごみの量は45%の削減にとどまる。しかし、一人一人がマイバッグやマイボトルなどで使い捨てプラスチックを減らすこと、世界中で適切なごみ処理と回収を徹底することなどで、約8割減らせる可能性があるという。
エンディング映像。
「NHKスペシャル」の番組宣伝。
「プロフェッショナル仕事の流儀」の番組宣伝。
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2023年9月23日(1:25)