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オープニング映像。
地球の表面の7割を占める海で生命は悠久の時を経て多様な進化を遂げてきた。アルゼンチンのバルデス半島では毎年夏、温かい海で子育てをするため、南半球全域から長い旅をしてミナミセミクジラがやって来る。英国BBCとNHKの国際共同制作。世界43か国を巡った撮影は5年間、延べ2000日。過酷な自然の中で必死に次の世代へと命をつなぐ営み、今、世界各地で進む環境の変化に翻弄される生きものたちの姿。
カリフォルニア湾で海面を埋め尽くすムンクイトマキエイの大群は毎年春、繁殖のために集まる。エイの出す音に呼び寄せられるようにやって来たのはシャチ。エイは俊敏な身のこなしで攻撃をかわすが、シャチは巧みなチームワークで追い詰めていく。ごく最近発見されたばかりの狩りの技。
フィリピン。海には地球の生きもののおよそ80%が暮らしているといわれる。中でも最も命にあふれている場所が沿岸の海。豊かだからこその激しい生存競争。生きものたちは多彩な狩りの技を進化させてきた。北米国沿岸の海の水中に広がる海藻の森で世にも恐ろしい狩りの一部始終が捉えられた。ケルプの森で最も恐ろしいサメの一種カリフォルニアカスザメ。生き抜くためには狩りの技だけでなく身を守るすべもまた必要。続いてラジャアンパッド諸島(インドネシア)の沿岸の海である魚のユニークな狩りの技を捉えた。テッポウウオは正確無比な水鉄砲が得意技。水中から木の上の獲物を見つけ出す優れた視力。テッポウウオの最大のライバルは同じテッポウウオ。撃ち落とすのがうまくても食事にありつけないことがある。穏やかな海で日々繰り返されるライバルとの熾烈な競争が唯一無二の技に磨きをかけてきた。
南アフリカのロベルグ半島はミナミアフリカオットセイが多く住む地帯となっているが、虎視眈々とオットセイたちを狙うホオジロザメの影が見られた。オットセイたちが退避した後もサメは狙い続けていて。その背景にはオットセイたちも魚を食べる必要があるためとなっている。その中でサメは1匹に飛びかかり、1匹が仕留められてしまった。ホオジロザメは本来1匹で行動するものの、この日は十数匹が集まる様子が見られ、オットセイたちは岸壁へと追いやられてしまった。すると、オットセイは集団を作ってサメを追いかけ始めるようになり、この集団は見事にサメをすみかから追い払っている。
陸地から遠い外洋は栄養分も乏しく海の砂漠との呼び名もあるが、ここには大海原を並ぶ魚の産卵の場であるとともに、子どもたちの隠れ家となる流れ藻がオアシスのようになっている。さらに、捨てられた漁網などのごみも隠れ家として使われることがあるのだといい、こちらには漂流物に乗って生活するオスのオキナガレガニが住み着いていた。生殖の相手を1匹で待ち続ける中でやってきたアカウミガメへと懸命に足を動かして乗り移った。すると、メスのアカウミガメがカメの背中には待っていたのだった。オキナガレガニはカメの甲羅の手入れも行うのだという。
水深1000mを超えたところにはフクロウナギがいる。袋のように口が広がり獲物を捉える。水深3000mを超えると水温はわずか4℃になる。ここで近年、パールオクトパスとよばれるタコの群れが見られるようになった。その数約2万匹。単独行動をするタコが集団を作ることは研究者にも知られていなかった。この場所には地下深くで温められた水が湧き出しているため水温が10℃近くなる。この暖かい水でタマゴの成長が早くなるのだという。それでも孵化までは2年かかる。母ダコはタマゴを守っている間なにも食べない。最後の子どもを送り出すと、母ダコは力尽きていく。
海では今、人間の活動によって生き物たちが大きな変化に直面している。チリ沖は世界で最も豊かといわれる海。数十億匹のカタクチイワシを糧に暮らしているのがオタリアで、近年その行動が異常だといわれている。オタリアが目指しているのが漁船。オタリアは網に空いた穴から逃げ出す魚を狙うようになった。網の中に自ら入り獲物を捉えるものもいる。また、網が巻き上げられるタイミングを待ち、海面近くにイワシが集まるところも狙う。このように新たな行動を身に着けたオタリアは数千頭にも上る。漁師は網を上げるとき大きな音を立てるが、網から逃げ遅れるものもいる。
メキシコユカタン半島ではベニイロフラミンゴが毎年子育てのため集まる。塩分濃度が高く、過酷な環境で他の動物が寄らず、天敵が少ない。産む卵は1個である。幼い雛は水に濡れると体温が奪われ命にかかわる。産まれてしばらくは砂を高く盛った巣の上で暮らす。近年、季節外れの嵐が襲うようになった。地球規模の気候変動で年々発生時期が早まっている。雛が十分育たないうちに嵐が到来する。高くなる波が子育て中の巣を襲う。巣に溜まった雨を必死に救うが猛威を振るう嵐になすすべもない。繁殖地は壊滅的な被害を受けた。過去には雛が全滅した年もある。寒さに震える雛は水からあがらなければ死んでしまう。親鳥は見守ることしか出来ず、助かる道は自力で巣に戻ることである。
劇的に変化するこの星でこれからも命を繋いでいくことができるのか。地球の未来は私たちの手に委ねられている。
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