都内にある創業10年のlT企業のオフィスの一角にレトロな駄菓子屋の会議室がある。出社した社員が顔を合わせて気軽に話せる環境作りを目指した。経理業務などを自動化する会計ソフトを提供しているこの会社では2020年の春からリモートワークをしていた。全社員はおよそ1700人、今年1月原則週5日の出社に切り替えた。その大きな理由がリモートワークによるコミュニケーション不足だった。新たな顧客を獲得する上で業務や意思決定が遅くなることに危機感を持っていた。このため会社ではリアルのコミュニケーションを増やそうと駄菓子屋のほかビリヤード場やキッチンつきの会議室を作った。業務拡大に伴って社員が増え続ける中、日々のコミュニケーションを通じて新たな社員にも会社の目指す価値を浸透させようとしている。一方コロナ禍を経て働き方をリモートワーク前提にした企業もある。大手住宅設備機器メーカーがおととし移転した本社はビルの1フロアで以前と比べておよそ10分の1に縮小した。オフィスに人はいるが出社率は1割に満たない水準。本社などに所属するおよそ5000人全員は入れない規模にした。この会社では成長のために子育てや介護を抱える人など多様な人材が働きやすい環境を整えることを重視している。小泉さんは週4日の在宅勤務で営業部門のデジタル化などを進める部署のまとめ役をしている。子どもたちが学校に行っている間は集中して資料作成などして業務を進めていて人の声などが気になり中断することがなくなり、通勤時間がない分、仕事や家事などに時間を使えることにメリットを感じているという。出社は週1度で新人への細かいケアなどは顔を合わせることを意識しているという。