愛媛県新居浜市には「おもちゃ図書館」と呼ばれる施設がある。地域の人に親しまれているこの施設では、布で出来たままごとの道具や人形など、手作りのおもちゃでだれでも遊ぶことができる。やさしい風合いのおもちゃを長年制作し続けてきたボランティアの活動を取材した。新居浜市総合福祉センターの一角にある「おもちゃ図書館きしゃポッポ」。おもちゃを作っているのは、かつて幼稚園の先生や洋服を作る仕事をしていたボランティアで、週に一度活動している。おもちゃ図書館を設立した松山明子さん。30年ほど前から新居浜市や市民の協力を得ながら活動を続けてきた。松山の長女には障害があり、生活をする上で周りの人たちに優しく支えられてきた経験から、趣味のおもちゃ作りを生かして地域の子どもたちを支えたいと活動を始めた。今作っているのは、転がして勝ち負けを決めるおもちゃ、じゃんけんサイコロ。視覚障害がある子どもでも楽しめるよう、音が鳴る工夫や触ったときに形が分かるようになっている。クリスマスのイベントでプレゼントするためにこれまで制作を続けてきた。おもちゃ図書館の運営だけでなく、手作りの衣装で演劇をしたりおもちゃを使った出前講座を行ってきたことが評価され、内閣総理大臣賞など数々の賞を受賞してきた。さらに松山たちは、今年1月に発生した能登半島地震の被災地に手作りのおもちゃを送った。松山さんは時間を見つけては自宅でもおもちゃを手作りする。これまで制作したおもちゃは1万個以上。あたたかみを感じて欲しいと、1つ1つ丁寧に作り上げる。松山さんは「全ての子どもたちのために共に生きていきたいなと思っている」と語った。