コンサートを翌日に控える中、自然体の笑顔でカメラの前に現れた南こうせつさん(75)。東京を離れ田舎暮らしを初めて40年以上。今楽しんでいることはガーデニング。大分県で生まれ育った南さん。かつて東京は憧れの場所だったという。日本が目覚ましい経済成長を遂げる中、様々な音楽のジャンルに触れたいと高校卒業後に上京。その頃は大田区の4畳半のアパートに住んでおり、近くに馬込温泉という風呂屋があったという。夢見ていたのはおしゃれの街、青山で暮らすこと。仲間と音楽に明け暮れる中、1973年、かぐや姫として「神田川」を発表し、ミリオンヒットを記録。その後も「赤ちょうちん」「妹」がヒット。しかしヒット曲を生み出したことである葛藤をかかえることに。”4畳半ソング”というレッテルを貼られ、周囲から求められるのは貧しい恋人同士の歌ばかり。青山での暮らしも1か所だけ埋まらないところがあったという。ぽっかり空いた心の穴を埋めるため、南さんが決断したのは、地方移住。当時26歳、最初に選んだ移住地は山梨・富士河口湖町。その後、現在の住まいである大分・国東半島に移住。雄大な自然に囲まれた生活の中で確立されたのは、「あるがままに暮らす」という生き方。音楽への向き合い方にも変化。好きな人たちに自分の歌を届けたい、そんな南さんの思いは、着実にファンの心をつかんでいった。南さんは「田舎か町のじいちゃんか分かんないけど、ぽつんと座って口ずさむ。人に聴かせるんじゃなく、自分の人生の悲しみや喜びを口に出して歌う。そういうのっていいですよね。「神田川」を80代90代まで歌ってみたいし、そういうのを作ってみたいですよね」等と語った。