映画で見つめる世界のいま、きょうはイランが舞台の「シンプル・アクシデント/偶然」を紹介する。去年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞、ジャファル・パナヒ監督は世界三大映画祭で最高賞を受賞している。パナヒ監督は1979年の革命のあとのイラン社会の人の姿をそのまま映画で表現した人で2010年には逮捕され保釈されるが国外に出るも映画を作ることも禁じられたが「これは映画ではない」という映画など監視の目を逃れるように撮りつづけた。「人生タクシー」など3作を紹介したがどれもイランの人をそのまま描いた作品。「シンプル・アクシデント/偶然」は一見普通の市民が遭遇する偶然の事故から始まる。母親は妊娠中で父親は家路を急ぐ途中で犬をひいてしまう。小さな工場で働くワヒドはかつて未払賃金を要求し政治犯とみなされ投獄されていた。車の修理を依頼した男は義足が軋む音を立てていて、収容された刑務所で義足のエグバルと呼ばれる看守から拷問を受けていたことから看守ではないかと思い葛藤の末復讐のため生き埋めにしようとする。顔を覚えていなかったので同じ経験をした人たちに確認してもらおうとするが誰も覚えていない。道徳的に殺人に抵抗を感じているが偶然に始まった復讐劇の行方は。藤原氏は「拷問加えた男を捕まえて復讐するありきたりな映画みたいだがサスペンスや映画の視点を動かすことで観客が動揺する、温かい。人間表現にユーモアがありドキュメンタリーより淡々とした作り物と意識させない表現だが演技という形で演技させていないので1人1人のキャラクターがくっきり浮かび上がる。画面の約束事はこの映画は全て外し、そのおかげで世界をそのまま見ている気にさせるパナヒの力量」だとした。パナヒ監督は2022年にも逮捕、出会いや経験を踏まえ映画を作り登場人物たちにリアリティーがあり国際評価が高いのも当然などとした。イランの体制下で監督が伝えたかったことについて「映画を一言で表現するなら“人々の連帯と愛”戦争が起こるとイラン側かイスラエル・アメリカが正しいのか、政府の話になるがパナヒは人にしか関心がなくイランの体制下でも生きてきた国民の姿たくましさを表している。カンヌでは14~5年ぶりに国外に登場、最高賞を受賞した。イランへの攻撃の時にはイランへの武力攻撃を批判、同時にイラン政府は独裁的とし、26年に政府による弾圧と殺害が起こるがパナヒはさらに強く非難した」「映画が注目されたのはなにより人権問題、イラン戦争が起こりパナヒが何を言うか関心をもったが一切発言しなかった。最中にあるイランに帰国し安否は確認されていない」「何よりも戦争を捉える時に政府と政府の関係ではなくそこにいる人の視点から戦争をとらえる。パナヒは帰国することでイラン国民といることを選んだ。ぜひ御覧いただきたい映画」とした。映画は来月8日から公開となる。「映画で見つめる世界のいま」次回は5月22日放送予定。
