厚労省が去年発表した大卒社会人の3年以内の離職率は34.9%。過去15年で最も高い数値。自己都合で離職を選んだ理由についてのアンケートで、職場の人間関係がよくない・合わない、上司と合わないなどが上位で占めている。北海道を拠点とするさくら構造の社員の渡辺さんは、上司から任された仕事は膨大で、やりきれないと判断し班長に相談したが「ちょっとなんとか頑張って」と言われ、年末年始も返上し仕事を続けたという。このままの仕事の進め方に不安を感じ、会社をやめようとまで思ったという。しかし、それを踏みとどまらせたのが上司選択制度。毎年3月に希望する上司を選び、異動を願い出ることができる。渡辺さんは他の上司の元で働くことを希望。この会社ではこれまでに、22人がこの制度を利用。導入前の2018年の離職率は11.3%だったが、2023年には0.9%にまで改善。渡辺さんは一度は違う上司を選択したが、元いた班の働きやすさに気づいたという。その次の年に再び元の班を選び直したという。専門家は、企業のこうした取り組みは、離職を防ぐために今後増える可能性があるとみているが、若手社員だけではなく管理職にもケアが必要だと指摘。