東京・新宿にある大正10年創業の「王ろじ」。二代目店主・来住野正明さんによると暖簾に描かれている謎の文字は「とんかつ」と書かれており、豚の尻尾や耳をイメージしたデザインで初代店主が考えたという。この店のグルメ遺産は「とんかつセット」で、ごはんと豚汁がついて2100円。特徴は独特の食感で、ロース肉をたたいて丸めることで柔らかい。豚汁にはベーコンを使用しており、フレンチを修業をしていた初代店主が他にはない豚汁を作ろうと生み出した。具材には他にもタマネギを使用した洋風テイストとなっている。初代店主は他にも丼と受け皿が一体化した食器を作るなどしていた。不思議な器に乗ったカツカレーの「とん丼」も人気。味に深みを出すのは焼酎に10年以上漬けたニンニクと焼きリンゴで、この他数種類のスパイスをカレー粉に加えるなど初代から受け継ぐ味となっている。元々神楽坂にあった店は震災や大戦で今の場所に移転。初代の奇抜な発想は時代の先を行っており、周囲の開発が進んでも父親の味を守ることが100年続けられる理由だと正明さんは話した。