傷痕ある女性の美しさというプロジェクトにウクライナの女性たちが参加した。ロシア軍による戦闘で大怪我をしながらも、前向きに生きる女性たちの姿を知ってもらおうと企画した。首都キーウの大型スクリーンでは、彼女たちの姿が映し出された。多くの人の目に触れた。モデルのひとりを取材した。オルハ・ジャトリュークさん、36歳。右腕に傷がある。腕が伸びないし痛いという。地元の病院を訪れていた際、病院付近にロシア軍のミサイルが直撃。爆発に巻き込まれた。この攻撃で死者23人、けがは60人以上。おそろしい光景だったという。腕に大きな破片が突き刺さり血が流れ、腕や顔にやけどを負った。皮膚の層を剥がしたり、移植したり、これまで幾度も手術を受けた。容姿が変わったことに引け目を感じ、傷痕を誰にも見せたくないと思うようになった。不快な視線を受けたという。暑いのにブラウスを脱げない。家に帰って泣いたこともある。戦争は最愛の夫のユーリさんを奪った。オルハさんは、前線から届いた夫の手紙を大切にしている。「ざんごうはとても怖くて寒い。でも君のことを思い出すと心が温かくなる」と書かれている。13歳と7歳の子供のために、立ち直らなければと考えている。ことし3月、傷痕のある美しさのプロジェクトからモデルの依頼が届いた。プロジェクトの狙いは戦時下で負傷しても前向きに生きる女性の美しさを伝えること。オルハさんは趣旨に賛同し参加を決めた。自分も誰かの役に立てると気付いたという。トラウマを抱え心を閉ざした女性が多い。担当者は、社会が傷を負った女性を受け入れるようになってほしいという願いを込めたとのこと。責任者は、負傷した男性兵士を英雄視する文化があるが、女性にとって外見的な魅力の喪失は大きな内面の試練となるという。だからこそ私たちはとくに女性を支援したいという。オルハさんたちを見た人たちからはあたたかいメッセージが寄せられた。傷がマイナスなものだったが、視点が変わり、誰かの役に立てると思った。傷を見せる勇気はどれほどのものか。無抵抗な市民へ軍事行動をすることは美しさのかけらもない。ウクライナで攻撃にあいケガを負った民間人は、3万8472人。ロシア軍の攻撃が激しさを増す。1月から10月までの死傷者は、去年の同じ時期より、27パーセント増えている。治療、心のケアが課題となっている。プロジェクトの担当者は、ウクライナの人々を勇気づけたかったという。ロシアの侵攻から4年近くたち、人々の間に、疲労感は高まっている。すみやかな停戦の実現が必要だ。ロシアに有利なかたちで和平協定が結ばれたら、ウクライナ国民にとって真の平和とは呼べない。ゼレンスキー政権は難しい局面に立たされている。
