冬至の日に入る習慣のあるゆず湯は厄払いの禊とされている。「冬至」と「湯治」、「ゆず」と「融通がきく」の語呂合わせとして広まったという。ゆずに関する調査を行うため、埼玉県毛呂山町を訪れた。ゆずの収穫で気をつけなければいけないのはトゲ。「桂木ゆず」は毛呂山町の名産。江戸時代に記された新編武蔵風土記稿では「毛呂山町の土産として桂木ゆずを産出している」という記述がある。桂木観音の近くにゆずの木があったことから「桂木ゆず」と名付けられたという。僧侶・行基が訪れたときには、ゆずの香りで満ちていたという。「桃栗三年、柿八年。ゆずの大馬鹿十八年」という言葉がある。種から育てると実際に18年くらいかかるという。毛呂山町は南斜面で風当たりが弱く冬でも霜が降りないため、ゆずの生育に適している。
ゆずを購入するときは、皮全体が色づいててゴツゴツしたものを選ぶと良い。「桂木ゆず」は香りが4回楽しめるといい、春の開花で「ほのかな甘い香り 」、夏の青ゆずの「爽やかな香り」、冬の収穫時期に「一般的なゆずの香り」、冬の完熟で「バニラのような香り」。桂木ゆずにはバニラの香りの元「バニリン」とかんきつ系の香りの元「リモネン」が他県産よりも3倍以上含まれているという。これを生かした食べ方が郷土料理の「ゆず味噌」。埼玉県毛呂山町のラーメン店「巽や」では、ゆずの香りが楽しめるゆず味噌ラーメンがある。食以外にも、アロマオイル、ゆずワイン、化粧水にも使われるという。アロマオイルとゆずワインは「ゆずの里 オートキャンプ場」でも販売されている。