阪神淡路大震災を題材にした短編映画のワンシーン。映画の舞台は震災をきっかけに開店した一軒のカフェ。仕事を辞め、神戸に引っ越してきた女性がふと立ち寄ったこのカフェでさまざまな悩みを抱える人たちと関わるストーリー。監督を務めたのは濱嶋仁美さん。小学6年生だった当時神戸市灘区で震災を体験した。震災からまもなく30年、濱嶋さんが28分の作品を通じて伝えたいこととは。先月、神戸市灘区で映画の試写会が行われた。タイトルは「わたしの居場所」。監督を務めた濱嶋仁美さん。映画の舞台は阪神淡路大震災をきっかけに作られたカフェ。さまざまな悩みを抱えた人がこのカフェに集まる。濱嶋さんが今回の映画で特にこだわったのは居場所だった。それには震災の体験が影響している。30年前、小学6年生で地震を経験した濱嶋さんは神戸市内の自宅で寝ているときに感じた大きな揺れを今でも鮮明に覚えている。濱嶋さんの父親が当時記録した映像には多くの家屋が被害を受け、取り壊された様子が写っている。地震の2か月後に小学校の卒業を迎えた濱嶋さん。卒業文集には震災のことを書いていた。震災の影響はその後も続いた。新しく建てた家のローンで家計が苦しくなり、希望どおりの進路に進むことが難しくなった。目標を見失い、濱嶋さんは高校に通えなくなった。そんな濱嶋さんを救ってくれたのは編入した通信制の高校での出会いだった。同じように不登校を経験した仲間と悩みを共有し合い、居場所を見つけられた。映画では、人間関係のもつれでふさぎ込みがちだった主人公の女性が利用客と交流を深めるうちにカフェが居場所になっていくというストーリーになっている。映画はあさってまで地元神戸で上映され、濱嶋さんはほかの地域でも上映したいと話している。