マイクロソフト台頭の背景にあったのはAIの進化。最先端のAIを持つ彼らは人の手に負えない膨大なデータをコンピュータに読み込ませ最強の顔認証システムを構築すると思われた。今岡たちも本格的にAIを導入することにした。社内では竹槍で戦っていると言われたという。これまでの課題を洗い出し今一度パズルを埋め始めた。評価テストは年々難易度が上がり1200万人の顔を瞬時に認識する性能が求められていた。だが、認証する以前に顔を検出できないケースが僅かながらあった。今岡は顔認証システムを使ってくれる客からの要望に真摯に耳を傾けた。ただデータを読ませるのではなく人に寄り添ったシステムを作り上げようと、チームは客の声を元に小さなピースを一つ一つ埋めていった。2019年9月、評価テストの最終結果では精度は99.5%になった。EUサミットを始め国際的なイベントで次々と採用、50の国と地域に広がった。アメリカでは200以上の空港で実装、2200件のなりすまし阻止に貢献した。
