5月、池江璃花子はモナコにいた。ロサンゼルス五輪で追加が決定した得意種目の50mバタフライの強化を目的に2週間のヨーロッパ遠征に来ていた。今回出場するのはヨーロッパグランプリモナコ大会。50m種目はスピードトーナメントという珍しい形式で開催される。2日間で5レースを行い、毎回半数が脱落する。池江璃花子にとっては実戦で多くの本数を泳げる貴重な機会。今回はコーチのスケジュールが合わず1人での参加となった。大会運営の確認や帰りのバスまで自分で行う。練習も1人で行い、タイム計測はその場にいた海外コーチに依頼した。大会では目標としていた25秒台をマーク、準決勝進出を決めた。大会2日目、スタートの練習を繰り返した。準決勝ではスタートで出遅れたが後半追い上げ2位で決勝進出となった。決勝の相手は東京五輪にも出場した強豪選手アリナ・スルコワ。結果は2位でタイムも今大会唯一の26秒台と悔しさが残った。