アハマド・アルマドホンさんは、イスラエル軍の砲撃から逃れるため、ガザ北部から南部の病院に避難してきた。アハマドさんはジャーナリストの友人とともに戦場となったガザを取材してSNSに投稿している。激しい戦闘によってパレスチナ暫定自治区のガザでは2万人を超える人々が命を落とした。しかしガザの内情はほとんど分かっていない。そこでガザで暮らす市民たちに撮影の協力を依頼し、パレスチナ側の視点で戦下の暮らしを記録してもらった。ガザ地区には約220万人が暮らしている。2007年にイスラム組織ハマスがガザ地区を実効支配。それに対しイスラエルはガザ地区の周囲を包囲した。ガザ地区は天井のない監獄と呼ばれている。経済活動は停滞し、慢性的な物不足に悩まされ、貧困ライン以下で生活している住民が多数いる。ガザ市で暮らしていたアハマドさんはイスラエル軍の攻撃がジ始まった夜に目にした光景をSNSに投稿した。
10月7日、ハマスがイスラエルに2000発以上のロケット弾を発射した。そして多数の民間人を人質として連れ去った。イスラエルは10月12日までに約6000発の爆弾をガザ地区に投下し、戦闘開始から6日間でガザ地区の死者は1537人にのぼった。避難先のハンユニスでは一つのテントに8～20人が住んでいて、とても困難な生活を強いられている。国連がハンユニスに設置した難民キャンプには約5万世帯が避難生活を送っている。イスラエルは国境を封鎖した影響でガザ地区への燃料の供給が停止し地下水の組み上げに使うポンプなどを動かすことができなくなった。
アハマドさんは戦乱の被害を取材するために病院の一角で寝泊まりをしている。10月下旬、イスラエル軍はガザ地区の北部に地上戦部隊を投入した。ハマスの重要拠点を狙った作戦に多くの市民が巻き込まれていった。避難先のハンユニスでもイスラエル軍の空襲が頻発し、11月6日にガザ地区の死者は1万人を超えた。
エジプトザガジグ市のウダイ・アブシャマーラさんは、ガザで暮らす家族とほとんど連絡が取れない日々が続いている。ウダイさんの生家はイスラエル軍の空爆で破壊され、家族無事だったが親戚4人が死亡した。その後家族はガザ地区南部へ避難した。10月下旬からはイスラエルが断続的に通信を遮断した。12月の停戦終了後にはイスラエル軍がガザ地区南部への地上侵攻を開始した。今もガザに残る友人たちとはほとんど連絡がつかないという。
マヤルさんの通う大学はイスラエル軍による攻撃で破壊された。マヤルさん一家はデイルアルバラにある知人の家で避難し、5つの家族との共同生活を送っている。マヤルさんが撮影した映像が流れた。
イスラエルのヨルダン川西岸地区はパレスチナ暫定自治政府が統治しているがおよそ8割がイスラエル軍が管轄し常に住民の監視を続けている。サエド・ズブゥンさんは難民キャンプで生活している。故郷を追われたどり着いた難民キャンプもイス耐えるに略取され続けている。近年西岸地区ではイスラエルからの入植者が増加しており、イスラエル政府は安全確保という名目で入植地の周囲に分リ癖を建設している。また西岸地区の水資源の約85％をイスラエルが管理しており、2週間ほど水道が使えなくなることがあるため、屋上のタンクに雨水をためている。その後もサエドさんが撮影した映像が流れた。また大学の講師をしているサエドさんは難民キャンプの子どもたちのボランティアも行っている。しかし青少年センターのスタッフがイスラエルに拘束される事態が相次いでいる。11月24日、一時的に戦闘が休止された。人道支援物資を積んだトラック50台がガザ地区に到着した。休戦は1週間で終了し、12月上旬からイスラエル軍はガザ地区南部への地上侵攻を開始した。