アメリカとロシアそれぞれの思惑について。ウクライナ・ゼレンスキー大統領はずしの動きとも取れるが、ねらいは?「アメリカ・トランプ大統領としては、ロシア側と歩調を合わせてでも、とにかく停戦という成果を手にしたいと考えているのだと思う。トランプ大統領がロシアに軍事侵攻されたウクライナ側に非があるとも取れる発言をしたことは、ワシントンで衝撃を持って受け止められた。ニューヨーク・タイムズは“敵と味方を根本的に見直す驚愕政策転換だ“と批判した。ルビオ国務長官が“すべての関係者が受け入れられる方法で戦争を終わらせるべきだ”といくら説いても、ウクライナやヨーロッパの同盟国が、アメリカに対する不信感を一段と強めたことは間違いない。アメリカとロシアの関係修復ばかりが先行する予想外の事態に、停戦に向けた交渉の先行きは、ますます見通せなくなっている」。一連の動き、ロシア側の思惑は?「ロシア・プーチン政権は、ウクライナ・ゼレンスキー大統領の正当性を疑問視し、交渉相手としてふさわしくないとの主張を繰り返してきた。ウクライナの大統領に親ロシアの人物が就任すれば、ロシアに有利な条件で停戦が実現できる可能性が高まる。またロシアは、停戦にとどまらず、アメリカと対等な大国の立場で国際社会に復帰し、影響力を及ぼしたいとその先も見据えている。戦況を見ると、人員や兵器で勝るロシア軍が、ウクライナ東部を中心に多大な犠牲を出しながらも、少しずつ掌握地域を広げてきた。ロシアは停戦の条件などで、急いで妥協する必要はないと考えていると見られ、アメリカの出方をうかがいながら、したたかな外交を展開していくものと見られる」。